英語に「お抱えの運転手」を意味する「Chauffeur(ショーファー)」という言葉があります。綴りから分かるように元はフランス語の言葉です。
私が「ショーファー」という言葉を初めて知ったのは、TVドラマの「ダウントン・アビー」でした。物語の舞台となるダウントン・アビーの持ち主グランサム伯爵家の娘の一人シビルが結婚することになる使用人のトム・ブランソンという人物が、伯爵家のショーファーでした。
以前なら伯爵家が移動に使うのは馬車だったはずですが、ドラマは20世紀初頭の設定ですからね、伯爵家は自動車を持っていたんです。そして、その自動車を運転する人を雇っていたのです。
とれはともかく…
私は、現在うちの夫の「ショーファー」になっているわけですけど、毎日の送り迎えはどうも必要が無くなりそうなんですよ。
だって、
正確には、買ってもらったのです、ドバイ在住の妹に。
電動アシスト付き自転車って千ドルくらいするのかと思っていたら、千ドルどころじゃあないんですよ。
「2千ドルくらい?」
「もっと」
「えっ!じゃあ3千ドル?」
「もっと」
「うっそお!4千ドル?」
「もっと」
「ホントにい?5千ドル?」
「6千ドルはしませんでした」
マジか!
自分が持っている(何年も乗っていない)普通の自転車にモーターを付けて、自分で電動自転車に改造するつもりだったというのは、やはりこのお値段が理由だったのですね。欲しい自転車がそんな値段では、自分で改造するしかないと思ったのでしょう。
それにしても、そんな高額なものを買ってくれる妹がいて、夫は幸せですね。
もちろんオンラインで購入したのですけど、新型コロナのために苦戦が続く小売業界は、オンライン販売には大変スピーディーに対応していますから、きっと数日中には届くでしょう。
「それにしても、自転車でKさんの家まで行って、昼間は自転車をどうするわけ?Kさんちのガレージにでも入れておいてもらうの?」
「自転車が届いたらもうKさんのお世話にはなりません」
「どういうこと?」
「自転車で店舗まで通勤しますから」
本気か!
「車で30分かかる道を自転車で行けば、1時間はかかるわよ!」
「どうしてですか?車で30分なら電動自転車でもそのくらいで行けるでしょう?」
「何言ってんの!速度が違うでしょ!」
「どうしてボクが車と同じ速度で行けないと思うんですか?」
「アナタね、自転車が車と同じ速度で行けるわけないじゃん!」
プロのロードレーサーじゃあないんですからね、時速60キロとか80キロなんて速度で行けるわけがないんですよ。信号の多い普通の道路を行くんですからね、普通に考えたら平均速度は30キロくらいのはずです。
その速さだったら、1時間くらいかかります。
うちの夫は、頭がいいのに何事も楽観的に考え過ぎるところがあるんですよ。毎日片道1時間の自転車通勤が想像以上に大変であることは、やってみればすぐに気づくでしょうけど。
長続きしないと、もったいないです。
夫が言うにはね、電動アシスト付き自転車は、通勤のためだけじゃあないんですって。
自立した暮らしのためなんですって。
ちょっと友人に会うとか、ちょっとホームセンターに買い物に行くとか、行きたいところに自分の力で自由に行けるようになるためなんだそうです。
それは分かる。
田舎環境に住んでいますからね、バスで行ける場所は本当に限られていますから、どこに行くにも、誰かに連れて行ってもらわないと行けないというのは、つらいだろうとは思いますよ。
電動アシスト付き自転車があれば、夫は再び自由を手に入れられるということなんです。
その気持ちは痛いほど分かる。
私もカローラをいつでも自由に使いたいです。カローラがないせいで、毎日家から出られないというのはつらいですよ。カローラは娘が通勤に使っているんです。
ああ…
やっぱりトラックの運転練習はしなくちゃいけないな。
本当はね、トラックを売って小さい中古車を買ってくれたら助かるんです。
トラックなんて、めったに使うことはないですからね。電動アシスト付き自転車が手に入ったら、トラックを一体いつ何に使うと言うんですか。
木を切りに行くためか?
ああ…
それは本当はやりたくないのよ。私がトラックを運転して夫を木を切りに連れて行ったら、終わるまでそこで待ってるの?きっと私も手伝わざるを得なくなると思うんですよ。
木を切るなんて、私は興味のかけらもないんです。
アレでしょ、基本的にトラックを使うのは、雨が降って自転車通勤が困難で、しかもカローラが使えない日の送り迎え。
いつか、トラックよりももう1台の小さい車の方が、私達の暮らしには助けになるということに気づいてくれるでしょうかね。
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