2021年9月25日

マラブリゴの毛糸のこと

バケットリスト(Bucket List)というのは「死ぬ前にやっておきたいことリスト」という意味で、英語圏では非常によく耳にする言葉です。
 
私がこのバケットリストを書いたのは2年ほど前のことですが、書いたのはメンタルの問題と関係がありました。

その頃、私はネガティブモードに陥っていて、やる気を無くしていたのです。

仕事と家事をするだけで楽しいことなど何も無い(と思っている)暮らしを続けても、生きている価値が無いとか、もし明日死ぬことになっても、私は「死にたくない、生きていたい」とは思わないだろうなどと考えていて、日々の暮らしに失望感をつのらせていました。

そんな時、インターネットで私と同じような悩みを持つ方々の投稿やそれに対するコメントを読んでおりましたところ、私はいくつかのコメントに頭をガツンと叩かれたのです。

1. 現在の自分のあり様は、全てこれまでに自分が選択し決定したことの結果である
2. 未来の自分のあり様も、自分が選択し決定することによって決まる
3. 誰かが何か楽しいことを与えてくれるのを待っていても楽しいことは起きない

まずこれにガツンとやられました。

そして、こんなコメントもありました。

今もし死んだら「あれがやりたかったなあ」と後悔すると思うことを考えてみなさい。「死ぬ前にやっておきたいこと」が分かったら、それをやってみなさい。やりたいことがあるのに出来ないと不満に思うのではなく、誰かがやりたいことをやらせてくれるのを待つのではなく、やりたいことをするために必要な選択と決断を自分でしていきなさい。

これを読んで、一気に考え方が変わったんですよ。

そして、その時に「バケットリスト」を書いたのです。

ただ、

私が書いたのは、どこそこへ行ってみたいとか、何々を見てみたいとか(例えばダヴィンチのモナリザ)お金がかかることばかりで、その実現は容易ではないのですが、それが仕事をする動機づけにはなりました。

それはともかく、

私のバケットリストには「マラブリゴの毛糸でセーターを編む」というのがあったんです。

マラブリゴ(Malabrigo)というのは、毛糸メーカーの名前です。南米ウルグアイのメーカーです。上質な素材の毛糸を手染めで非常に色彩豊かに染めた毛糸が、北米のニッター達の間で大人気となり、それがヨーロッパにも広まり、世界的な人気を得ました。

オーストラリアでは取り扱っている店が多くありませんし、大変高額です。手に入れるにはオンラインショップで買うしかありません。高額な毛糸を実物を見ないで買うというのはなかなかできませんでした。

色合いが素晴らしくて、いつかマラブリゴの毛糸で編みたいと思っていました。一度だけ英国の店から買ってショールを編んだことがありましたが、英国から買う方が毛糸そのものの代金も郵便料金も安かったんですよ。

ところで、

先月、回転性の目まいで倒れて入院した時、死ぬかもしれないと思いました。最初の頃は本当に症状がひどくて、こんな状態のままでは生きて行けないとも思いました。そして、回復し始めた時にバケットリストに書いていることをすると決めたんです。

書いていることの多くはお金もかかるんですけど、今は新型コロナのせいで実行不可能です。一番簡単に実現できそうだったのは「マラブリゴの毛糸でセーターを編む」でした。

だからマラブリゴの毛糸を買ったのです。

糸の太さや編みやすさ、そして洗濯のしやすさから「Rios」という名前の糸を選びました。 色を選ぶのが大変でした。とにかく似たような色合いの糸がいっぱいあるんです。

糸の写真からだけでは、編んだ後にどんな感じになるのかが分かりませんから、グーグルで相当調べましたよ。そして、悩みに悩んで、このたくさんの色の中から「Purpuras」という紫とピンクが混じった色合いの糸を買ったんです。

決めては、Ravelryで見たこの写真でした。Justyna Lorkowskaさんの作品です。


さて、届いた糸ですけど、糸の質感は気に入りました。とても柔らかくて編みやすい糸です。思っていたよりも細かったのですが、4ミリの棒針で編むのにはちょうど良い太さでした。

問題は色でした。

手染めなので同じ色の糸は二つと無いことは理解していましたけど、それにしてもカセごとの色の違いが激しいです。全体的に色が濃いカセと薄いカセがあります。そして、その違いが大きいのです。

例えば、下の写真のカセですが、一つは全体的に色が薄くて白っぽく、もう一つはものすごくピンクなんですよ。写真ではちょっと分かりにくいですけど。


現在身頃を編んでいますが、最初のカセが終わったので、次のカセはできるだけ色味が近いものを選んでつなげたのですけど、糸がどこで変わったかが分かるんですよ。見頃の色合いがある位置から微妙に違うのです。

ううん… これはちょっと…


それに、まだら模様が目立ちます。

裏目側を表にするという手もあるけど。

バケットリストに書くくらいに編みたいと思っていたマラブリゴの毛糸ですが、期待していたのとかなり違いました。このセーターは、縞模様になると思います。と言うか、もうなっちゃっています。

手染めだから色のムラがあるのは分かりますし、それがマラブリゴの糸の魅力でもあるのですけどね。こういうのが気になる方は、マラブリゴの毛糸を購入する時には、よく考えて色を選んだ方が良いです。

カセごとにものすごく色が違いますから、1カセで完成するニット帽や小物などなら問題はないでしょうが、セーターとかを編むには問題になりますよ。

縞模様セーターになるのは確実ですからね、正直言うと、このまま編み続けるのは時間の無駄という気もしています。セーターは諦めて何か別のものにしようかとも思っているんですけど。投資した額のことを思うと、貧乏根性が葛藤を生んでいるのでございます。


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2 件のコメント:

  1. すっごく素敵な色だと思いますよ。
    そのままあみ続けてもいいのではないでしょうか。

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    1. この記事を書いた後、編みかけているものを裏表にしてみました。まだら模様は目立ちません。点々のラインが模様のようです。ただし、濃いめの色のカセの後に白っぽいのやピンクのをつなぐとどうなるかですね。もう少し編んでみます。

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