2017年11月2日

神聖な場所を侵す観光客

オーストラリアの最も有名な観光名所の一つであるウルル(Uluru、旧名エアーズロック)の登山が禁止されることが決まったというニュースがありました。

禁止措置が施行されるのはまだ先で、2019年10月26日からだそうですが、私は観光客が今でも登っていることに驚きました。とっくに禁止されたものとばかり思っていましたので。

ウルルの所有権を持つ先住民アボリジニの人々にとって、この場所は聖地ですから、彼らは観光客がウルルに登ることを快く思っていないのは当たり前です。私がオーストラリアにやって来た頃からすでに問題となっていました。

彼らは、長年ウルル登山の禁止を求めていて、ある時禁止になるらしいという話を聞いたことがあったので、てっきりもう登っていないと思っていたんです。

美しいウルルですが、近隣のカタ・ジュタ(Kata Tjuta、旧名マウントオルガ)と同様に、実際に行ってみるとスピリチュアルな場所だということが納得できます。岩のくぼみなどには精霊が宿っているとされ、古い壁画も見られます。

この神聖な岩を近くで見ると、

神聖な岩に突き刺された無数の金属棒!



安全のための鎖が付けられているんですが、

無残です。

簡単に登れる岩ではありませんから落下して死んだ人が何人もいますし、夏場は大変な高温となる場合があって、毎年多数の死者が出ているそうです。

しかし、観光客はやって来て、この鎖にしがみつきながら列をなして登頂してきたわけですよ。それを見てきたアボリジニの人々の歯痒い思いは、この岩の神聖さを理解しない人には分からないですよね。

日本人的に言えばね、例えば、緑深い森があったとして、そこは地元の人々にとっては神聖な場所で、そのシンボルとも言える屋久杉のような巨木があったりして、「シシ神」のような伝説の動物が森を護っているといった信仰もある、そんな状況を考えてみるといいかもしれません。

そこへ観光業者が入ってきて、ツアーを始めたらどうか。「シシ神」探しツアーだとか、巨木登りツアーとか。きっと人気が出るわよ。大勢観光客がやって来て、森に入ってくるわよ。巨木には、安全に登れるように杭を打ったり安全のためのロープを引っ掛けたりしてね。

神聖な森がそんなことになったら、貴方はどんな気持ちでしょうか。

それは止めてもらいたいと思うでしょ?

ウルルの登山が禁止になって良かったです。2019年の10月まで待たなくても、もっと早く禁止にすればいいのになあ。

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