夫は、読めなくなったら大型モニターを置くからまだ仕事はできると言います。
お客さんに対応するレジにそんな大きなモニターを置いていいのか、会社の上の人に聞いてみないと分からないでしょうと言いましたら、「いいに決まっている」「ダメなわけがない」と言うんですけど。
もしも本当にそういうことができて、少しでも長く勤めることができればありがたいです。
現在夫が使っているモニターは32インチです。32インチのモニターは、画面の大きさが横が約70センチで縦が40センチです。このモニターに拡大表示させて見ています。
家のデスクに置いてあるのを見るとそんなにむちゃくちゃ大きくみえませんけど、これがお店のレジに置いてあると巨大に見えるでしょうね。
この大きさのモニターは、品質次第で値段はピンからキリまでですが、一般的な品質のものなら500ドルくらいで売られています。
「NDIS(National Disability Insurance Scheme)」というオーストラリアの障害者保険制度に障害者として認められると、仕事を続けるために必要な道具や機器の購入に補助金が出ますから、こういう大きなコンピューターのモニターを買うのにも補助金がもらえるのですよ。
そろそろNDISに申請をした方がいいかもしれません。
コンピューターの利用において問題となる障害は様々です。その障害の程度も様々ですけど、今どきのコンピューターやスマートフォンには「アクセシビリティー」と呼ばれる補助機能がいろいろ付いていますよね。
目が見えにくい人のための補助機能もいろいろあります。私も利用していますけど、画面を拡大表示したりズームさせたり、コントラストを強くしたりできます。
音声を使って使用することもできますし、画面の文字を読み上げてくれる機能もあります。
夫はまだ読むことは出来るんですけど、網膜の黄斑周辺の細胞がかなり死んでしまっていますから読みたい所に焦点を当てても何も見えません。だから、まだ死んでいない部分を探すために焦点をいろんな所に動かすんだそうです。
そうやってまだ見える部分を駆使して見ているのだそうです。
黄斑変性が進行している義母(夫の母親)とは、話をしていても視線が合いません。話をしている人の顔を見ようとしても視野の中心はまっ黒で何も見えないのですから、視野の中心を相手の顔以外のどこかに合わせなくてはいけないからです。
視野の外側ではぼんやりとしか見えませんが、外側にはまだ見える部分があるので、その部分で相手の顔を見ようとするわけです。だから、義母の視線はあっちの方を向いています。
視線を合わせようとしない人が時々いますけど、ああいう感じです。今ではもう慣れましたけど、最初の頃は違和感がありました。
うちの夫も最近人の顔を見るのが難しくなって来たと言いますから、いずれそうなるんですけど。
夫の病気は、遺伝性の黄斑変性「スターガルト病」(Stargardt Disease)です。この病気は遺伝子の変異によるもので、父親と母親の異常遺伝子が揃った時に発症する常染色体劣性遺伝の疾患です。現在のところ治療方法はありません。
この病気があると分かったら、出来るのは見えなくなる時に備えることだけだと言うんですから、本当に気の毒なんですよ。
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