2023年5月12日

お気の毒な夫婦の家

昨日の記事で少しふれた我が家の道路向かいの家ですけど。

この家は両側を2軒のボロ家で挟まれていました。

私は、ほとんど近所付き合いをしていないのでよく知らないんですが、夫の話によると、片方のボロ家の持ち主は知的障害のある男性で、知人だという高齢のお爺さんが一緒に住んでいます。

言っちゃあ悪いですけど、掘っ立て小屋みたいなボロ家です。二人とも家の周りの手入れなどできないので、人が住んでいるとは思えないほど荒れています。

もう片方のボロ家には、老夫婦が住んでいるということでしたが、姿を見かけたことは一度もありません。ひっそりと暮らしておられたようです。

DIYでリフォームを始めたもののご主人がうつ病になって、リフォームが途中止めになったままでした。外壁は木枠や断熱材まで丸見えで、家の一部はビニールシートで覆われていました。

お気の毒な老夫婦がお亡くなりになり、家はすぐに売りに出されました。悲しい姿だった家は完全に取り壊されて、工事が始まった頃に新型コロナが始まりました。

メルボルンは世界最長のロックダウンも経験しましたしね、工事には大変時間がかかりましたが、家は完成しました。

何度か工事の様子を見に来られている方を見かけましたが、30〜40歳くらいのご夫婦でした。子供さんも見かけましたから、この家族がそのうち引っ越してくるんだなと思っていたんですけど。

家は完成しましたが、住んでいる人を見かけたことがなかったんです。人が住んでいるような気配はあるんですけど、変だなあと思っていたんですよ。

そうしましたら、先日うちの夫がこの家の方とついに会って話をしたんだそうで、教えてくれたんですけど。

この家のご主人は航空会社に勤めるパイロットだそうです。

やっと家が完成した時、奥さんがお亡くなりになったそうです。病気だったのか事故だったのか、それは知りませんけど。

お子さんがいらっしゃったと思いますが、子供の姿を見たことはないですから、この家に住んでいないのだろうと思います。

パイロットですからね、仕事に出ると長期に家を留守にすることもあるのですよ。そういう状況では子供さんを育てられませんね。

完成したばかりのこの大きな家に一人で暮らしていらっしゃるらしいです。寂しいでしょうね。

不運だった老夫婦が住んでいた家を買った若い夫婦も不運に見舞われたということで、なんだかとってもお気の毒なのです。


運を味方につけたかのように何をしてもうまく行き、努力が報われて成功し、健康にも恵まれて幸せな暮らしをしている人もいますけど、その逆の人もいますよねえ。

私達は、その逆の不運な方だなあと思います。

まずは心身の病気、これが不運だと思うんですよ。私達家族は、精神的な病気で長年苦労して来たんです。

うちの夫は、私が出会った頃にはパニック障害で苦労していました。後から分かったことですが、子供の頃にひどいトラウマ経験をしていたんです。

精神的な病気というのは育った環境に影響されることも多いので、夫の病気も防ぐことができたかもしれないのですけど。育つ環境なんて子供にはどうすることも出来ませんからね。

精神的な病気にしろ身体的な病気にしろ、病気は学業の面でも仕事の面でも障害になりますから、幸運な人達と同じ努力をしても、いやそれ以上の努力をしても、報われないことがあります。

病気で仕事ができないと、経済的に困難な状況に陥いることも多いです。

私達家族は、一時期食べていくことも出来ないほど困窮したことがあるんですよ。義妹(夫の妹)からの援助がなければホームレスになるところでした。

貧困から脱した後も、メンタルヘルスの問題は続きました。特に娘がひどい病気になりましたし、メンタルヘルス以外の健康問題も続きました。本当にねえ、経済的にゆとりが無い中で医療費が大きな負担になりましたよ。

考えるとつらくなりがちな状況でも前向きになるには、他人と自分を比べないことですよね。知っています。

自分が出来ないことや手に入れられないことを考えて残念に思ったり悲しくなったりするんじゃあなくて、自分が出来ることや手に入れられることを考えて、そこに喜びを見つけることが大事です。

そんなことは分かっていますけど、時々「どうして自分達はこんなにいろいろ大変な目に遭うんだろう」と思わずにはいられません。

何かが良くなると必ず次の大変なことが起きるのですからね。

夫の目が見えなくなることが今は一番の心配事ですが、心配しても「その時」は必ずやって来ます。だから「その時」に備えて暮らしを変えて行こうとしているわけですけど。

私の人生は若い頃に思い描いていたような人生になっていませんが、心身の病気というのは自分の力ではどうすることもできないわけですからね、いろいろ不運だったと思います。
 
でもね、目が見えなくなって来ている夫の気持ちを考えると、今は出来ることを頑張るしかないです。

そして、こんな日々の暮らしの中に小さな喜びや幸せを見つけながら過ごせるといいのですけど。


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