ミュージカル「オペラ座の怪人」をついに観て来ました。
感想ですか?
ううん…
出演者の皆さんのパフォーマンスは素晴らしかったですよ。ファントム役の方もクリスティーヌ役の方も、どの役者さんも、歴代の著名出演者に負けないパフォーマンスと素晴らしい歌唱力でした。
しかし、
私がこのミュージカルにスペクタクルを期待していたのがいけなかったんですよ。スペクタクルというのはね、視覚的に強い印象を与えるような大掛かりな出し物のことです。
今回上演されている劇場というのがメルボルン・アート・センターなんですが、ここは舞台があまり広くないのです。
だからミュージカル「オペラ座の怪人」を有名にしたあの大掛かりな舞台装置は、やろうったって無理なんです。
シャンデリアは、UFOみたいな小さめのやつで、最初から客席の上にぶら下がっており、光り輝くとは言い難いものでして、上のところから花火が出たりしました。
これは終わった後に撮った写真ですけど、しょぼいでしょ?
私が最も見たかった演出の一つ、クリスティーヌが代役を見事に務めた後に舞台を奥から客席に向かって眺めているように見えるシーンね、あれも無しでした。
クリスティーヌがファントム(怪人)にオペラ座の地下に連れて行かれてゴンドラに乗るシーンはありましたけど、大して広くない舞台の左手から右に移動しただけで、しかも右に行ったところでゴンドラが動かなくなってしまいまして。
まさにこれからファントムがあの有名な「The Music of the Night」を歌おうというところで、舞台袖から男性が二人現れてゴンドラを動かそうとしたんですけど、重いのでしょう、なかなか動かなかったんです。それを必死で押しているのが見えまして、現実に引き戻されてしまいましたよ。ファントムの「The Music of the Night」は素晴らしかったですけど。
後半冒頭の有名なマスカレード(仮面舞踏会)のシーンでもね、どうぞあの階段はちゃんとありますようにと期待していたんですが、階段も無しでした。あんな大きな装置を置く場所が無いというわけでしょう。
この音楽にふさわしい壮大な感じは無いですよね。
ちなみに、昨日の出演者の皆さんのパフォーマンスはこの動画よりも良かったですよ。
とにかく、昨日観た「オペラ座の怪人」は、演出も振り付けもセットも私が期待していたのと違う、新しいプロダクションと言うべきものでした。
出演者のパフォーマンスは素晴らしかったですし、小さな舞台用にはセットも良くデザインされていましたけど。
正直言うとがっかりしたんです。
何度もオリジナルキャストのCDを聞いていて、ロイヤル・アルバート・ホールでの25周年記念公演の大スペクタクルも観ているような人にはアレですけどね、初めて「オペラ座の怪人」を観る皆さんには、十分に素晴らしいミュージカルだろうとは思いますよ。
家に帰ってから、うちの夫に感想を聞かれたので、そういう話をしましたら、
「僕が観た時には、シャンデリアは最初は舞台の上にあって、それが突然客席の方に浮かんで、光りながら上に上がって行ったんですけど…」
「何い?僕が観た時?オペラ座の怪人を観たことあるの?」
「もう30年くらい前のことですよ」
「30年前って、それってオリジナルの演出だったわけでしょ?それを観たの?なんで今ままで教えてくれなかったのよお!」
というわけで、うちの夫は1990年代にメルボルンで上演された最初のプロダクションを観たんだそうです。
光り輝く大きなシャンデリアも、舞台を奥から見る演出も、巨大な階段もあったのです。上演されたのはプリンセス・シアターだったそうです。
うらやましーい!
メルボルンのプリンセス・シアターはね、「オペラ座の怪人」が初演されて以来現在も上演されているロンドンのハー・マジェスティーズ劇場(Her Majesty's Theatre)に似た19世紀建築の劇場で、雰囲気は「オペラ座の怪人」にぴったり。
有名なミュージカルはたいていそこで上演されるのに「なんで今回はそこでやっていないの?」と思ったら、現在プリンセス・シアターでは舞台「ハリーポッターと呪いの子」をやっているんですよ。
ちなみに、メルボルンにもハー・マジェスティーズ劇場はあります。こちらでは、現在ミュージカル「ハミルトン」が上演されているそうです。
舞台装置が小さくなればツアーもしやすいのでしょうけど、スペクタクルの無い「オペラ座の怪人」は、はっきり言って魅力が半減です。
パフォーマンスは素晴らしかったです。歌も素晴らしかったです。オーケストラの演奏も良かったです。座席も中央の良い場所でしたし、楽しみましたけど。
私はスペクタクルが観たかったのですよ。
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