新型コロナの感染者が急増していた昨年の英国で、市民に原則的に無料で医療を提供する英国医療サービス(NHS)を支援するために、3300万ポンドもの寄付を集めた元英陸軍大尉のトム・ムーアさんが新型コロナに感染してお亡くなりになりました。100歳でした。
「もうすぐ100歳になる私が裏庭を100回往復して歩くので皆さん寄付してください」と始めたキャンペーンの当初の目標は1000ポンドでした。
裏庭の端から端まで約25メートルを、歩行補助具を使いながら往復する様子をSNSで披露しながら寄付を募っていましたが、BBCのラジオ番組でこのキャンペーンについて話した後、様々なメディアで取り上げられてから寄付が急増し、最終的には3300万ポンド(日本円に換算すると47億円以上)もの寄付を集めたのでした。
トム・ムーアさんは、キャプテン・トムとして絶大な人気者になりました。
英国の歌手でミュージカル俳優のマイケル・ボールさんが、キャプテン・トムと一緒に歌った(オンラインで録音)英国の愛唱歌「ユール・ネヴァー・ウォーク・アローン」は、全英シングルチャートで1位になりました。シングルチャートで1位になった最高齢歌手として、トム・ジョーンズを抜いたのでした。
キャプテン・トムの100歳のお誕生日には、12万5千通以上のバースデーカードが届き、英国空軍はキャプテントムの自宅上空にスピットファイアを飛ばしてお祝いし、7月にはエリザベス女王からナイトの称号が授けられ、11月には月刊誌GQの表紙に「今年のインスピレーション」として取り上げられました。
新型コロナ禍にあえぐ英国で「A Beacon of Hope(希望の星)」となったキャプテン・トムだったのですけど。
1月に入って肺炎の症状が出て治療を受けていたそうです。なかなか良くならないので新型コロナの検査を受けたら陽性だったそうなんですけど、何故肺炎の症状が出た時点ですぐに検査しなかったんでしょうね。オーストラリアなら何らかの症状が出た時点で即検査です。
肺炎の症状が悪化して入院されたというニュースが報道された時に、新型コロナに感染しているということも報道されたわけですが、私が最初に思ったことは、
どこでウイルスに感染したんだろう?
でした。多くの人がそう考えたようです。
そうしたら、キャプテン・トムは、ご家族の皆さんと一緒に、12月にカリブ海の島国バルバドスに旅行していたというじゃあないですか。
航空会社ブリティッシュ・エアウェイズの招待だったそうで、2回目のロックダウンが解除された翌週に旅行に出かけていますから規則違反ではありませんけど、感染者がいることが確実な空港に行くなんて、リスクは大きいですよ。
ですけど、このバルバドス旅行について、キャプテン・トムは「バケットリスト(死ぬまでにやっておきたいリスト)の一つをすることができた」とおっしゃっていましたから、人生の最後に大きな楽しみを味わうことができたことは、良かったなと思います。
入院されたというニュースが報道された翌日、家族が病室で付き添っているというニュースを聞いて嫌な予感がしたんです。病院では見舞い客はもちろん家族の面会も禁止のはずなのに、キャプテン・トムの家族が病室で付き添っているというのは、特別な配慮なわけですから、危篤なのではないかと思ったのです。
やはりお亡くなりになりました。
キャプテン・トムがどこでウイルスに感染したかは分かっていません。
お亡くなりになったことはお気の毒ですけど、キャプテン・トムは立派な人生を送られました。最後の1年間の充実ぶりを知れば、お見事だったと称賛するしかありません。
どうしてもっと早く検査を受けなかったのかということについてですが、キャプテン・トムは定期的に検査を受けておられたそうです。そして結果はずっと陰性だったんですって。陽性の結果が出たのは1月22日だそうです。
バルバドス旅行後の検査でも陰性だったということですから、どこで感染しちゃったんでしょうか。家族の皆さんも関係者も十分に注意していたはずですからね。
現在の英国はそれほど感染が拡大しているってことなんでしょうか。
英国の新型コロナの死亡者数は、もうすぐ11万人を超えそうです。
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