先日、うちの娘がオーストラリア国防軍(ADF: Australian Defence Force)に入ることを検討しているという話を「軍隊に入るかもしれない」という記事に書いたのですが、熟考の末、入隊の申し込みをしました。
入隊を希望する人は、ウェブサイトからオンラインで申し込むことになっています。その方が、データベースを管理しやすいのでしょうね。
娘がなろうとしているのは、武器を持って任務に当たる兵士ではなく、兵士を心理面でサポートする仕事です。
申し込みをしてすぐに、軍の担当者から電話がありました。現在は新型コロナのせいで、選考上の多くのことがオンラインで行われているそうです。この担当者からは、今後どういうことがどういう順序で行われていくのかという説明を聞いたそうです。
次に電話をしてきた人は保健医療の担当者でした。電話があった日に娘はアルバイト中だったため、電話に出ることができませんでした。土曜日に別の担当者と話をして、週明けの月曜日に再び電話がありました。
この担当者の目的は、娘の病歴を調べることでした。オーストラリア国民の病歴はデータベース化されているので、データベースにアクセスすればこれまで医者の診察を受けた病気や怪我に関しては全て分かってしまいます。
さて、その翌日に電話をかけてきたのは、国防軍のキャリアコーチ(就職指導員)でした。
入隊申込者一人ひとりに個別でこういう対応をしているんでしょうかね。大変な労力が必要です。
さて、実際に軍隊の人と話をする機会が増えてきますと、申し込みをする時には考えもしなかったような「現実」を知ることになります。
オーストラリア国防軍というのは、空軍、海軍、陸軍からなる軍隊です。オセアニア最大だそうです。主な任務は「自国に対する武力攻撃の抑止および撃破」なわけですが「インド洋・太平洋地域の安定と安全に対する貢献」とか「国際的な安全保障に役立つ有事への貢献」というのもありまして、多くの兵士が海外の紛争地域に派遣されて活動します。
「紛争」といいますけど、武器を持って攻撃したりされたりするわけでして、「戦争」と同じことです。兵士達は、相手を攻撃する必要もあります、と言うかそれが仕事の重要な部分です。
相手を攻撃するというのは、すなわち相手の人間を「殺す」ということでもあります。
普通の人間にとって「人を殺す」という行為は簡単にできることではありません。
兵士達の心的外傷後ストレス障害(PTSD)の問題は、今では一般によく知られていますが、自分の命が脅かされるような強い精神的衝撃を受けることが原因になるだけでなく、「人を殺してしまった」という強い罪悪感も原因になるんですよ。
兵士を心理面でサポートする人間にとって、この「人を殺す」ということに関する葛藤やストレスが非常に現実的なものだということを私は思い至っていませんでした。
いずれにしても、兵士がさらされる状況というのは、深い心の傷として残るような厳しいものです。
小学生の頃から様々な不安障害の症状で苦しんできたうちの娘が、そうした兵士の心理面をサポートしていけるのかだろうかと思いました。
そうしたら、
娘の病歴をデータベースで調べたらしい保健医療の担当者から早速連絡があったんです。
結論を言うと、これまでのメンタルの病歴のため、娘は軍隊には入れないということでした。本人はがっかりしていますが、お母さんは「そりゃそうだろうな」と納得しました。
軍隊の仕事は、身体もメンタルも強くないと務まらないでしょう。
残念でしたが仕方がないです。
お帰りの前に1クリックを!
0 件のコメント:
コメントを投稿