2021年2月8日

失業者はこんなにたくさんいるのに

職業についてよく言われる「3K」という言葉は、皆さんご存知のように「きつい」「汚い」「危険」の3つの言葉をローマ字にした場合の頭文字「K」が3つということから来ていますが、近年は新たな「K」が登場して「新3K」とか「6K」とか言われる職業もあるそうですね。

新たな「K」には、「帰れない」「給料が安い」「休暇が少ない」「規則が厳しい」「婚期を逃す」「化粧のりが悪くなる」とかまあいろいろあるんだそうです。

オーストラリアでは、「きつい」「給料が安い」「帰れない」の3Kに該当しそうなのが、農場の季節労働です。野菜や果物の収穫をおこなう仕事です。

農場は離れた場所にある場合が多いので、収穫期間は農場内あるいは近くの宿泊施設に泊まり込みということも必要になる上、賃金が安く、身体的にきついということから、オーストラリア人には敬遠されます。

そのために、こうした仕事にはワーキングホリデー等でオーストラリアに滞在中の若者達や暑さの中での農作業に適応しやすい太平洋諸島の住民など、外国人が雇用されることが多いのです。太平洋諸島の住民の皆さんにとっては、オーストラリアの最低賃金でも自分の国の物価からすれば良い収入になるということなんでしょう。

ところが昨年、新型コロナのせいで海外からの渡航者の入国が原則的に禁止となり、オーストラリアの農業経営者の多くが、労働者の確保に苦労しているんだそうです。

昨年末には、緊急特別措置で太平洋諸島から労働者の入国を認めたケースもありましたが、多くの農場で収穫ができなかったり間に合わなかったりして、腐るに任せている農産物が大量に発生しているんだそうですよ。

新型コロナのために失業して政府からの給付金を頼りに暮らしている人が何十万人も発生しているのに、労働者不足でそんな事になっているというのがおかしな話です。

実は現在、収穫できなくて地面に落ちて腐っている果物が大問題になっています。

落ちた果物を集めて土に埋めるといった処理をする労働力もないのか間に合わないのか、落ちてそのまま腐っている果物にミバエ(Fruit Fly)が発生しているのですよ。

それらのミバエの中には、果物やオリーブなどの作物に有害で、農業に壊滅的な被害をもたらすハエもいます。近く農業省がミバエ対策計画を発表するそうです。

ミバエの大量発生も大問題ですが、根本的に何とかしないといけないのが、農業大国オーストラリアの農業が外国人労働者に頼っているという問題ですよ。

国内におびただしい数の失業者がいて、政府はその支援に莫大なお金を使っているんですけど、一方で労働者不足が深刻な問題になっているなんて、何かが間違っているでしょ。

失業者が多くいる都市圏と労働者を必要としている農業地域とが離れているというのもあるでしょうし、「3K」問題もあるでしょう。特に「給料が安い」というのは問題なのです。

農場経営者はできるだけ安い賃金で労働者を雇いたいわけですが、物価の高いオーストラリアでは、最低賃金ではフルタイムで働いても生活が苦しいという現実がありますから、その上に仕事がきついとなれば、誰も働きたくないだろうとは思います。

少々仕事がきつくても、その賃金でまともな暮らしができるのなら、また話は別でしょうけど。

農場の仕事の時給がどのくらいなのか私はよく知りませんが、聞いた話では、雇用期間中に寝泊まりする宿泊施設の料金や食費及び諸生活費が結構かかるので、割に合わないのだとか。

住宅価格も賃貸住宅の家賃も高額で、ガス料金も電気料金も値上がりし続けているオーストラリアでは、生活費は相当かかりますからね。

自宅から通勤できる距離の農場でないと割に合わないとか、車を持っていないために通勤できないとか、ガソリン代など通勤費用がかかり過ぎるとか、農場で働くのを困難にしている要因はいろいろありそうです。


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