2021年2月5日

同性愛者や性自認の矯正治療は禁止決定

ヴィクトリア州で同性愛の矯正治療を禁止する法律制定に向けた動きがあるということについて、昨年12月に「同性愛の矯正治療を禁止へ」という記事に書きました。

この矯正治療は、オーストラリアでは「コンバージョン・セラピー(Conversion Therapy)」と呼ばれます。

同性愛であることを「悪いこと」「間違っていること」あるいは薬物やアルコール依存症と同じような「精神疾患」として扱い、この治療を行う人達が「正常」と考える異性愛に「矯正」することを目的として行われます。

性自認が身体的性と一致しない人々に対して「一致させる」ことを目的にも行われます。

多くは宗教的動機に基づいて行われています。

電気ショック療法や嫌悪療法(不快な感情やイメージを植え付けることで問題行動を抑制する)が用いられるそうです。

この矯正治療が、治療を受けさせられる人々にどれほどの苦痛を与えるかは、想像に難くないですよ。

同性愛者も性自認が身体性と一致しない人達も、そのように生まれてきたのです。人類の歴史を見れば、いつの時代にも、何千年も昔にも、様々な性的指向や性自認の人達がいたことを私達は知っています。

性的指向とか性自認というのは、スペクトラムのように様々なのが当たり前なんです。人それぞれ皆んな違うのです。ところが、それを「間違っている」とされて、家族や自分が属する集団にありのままの自分を受け入れてもらえなければ、誰だって心的葛藤を抱えます。

ヴィクトリア州議会に出されていた法案ですが、もっと早く採決されるかと思っていたのですけど、審議が続いていたようです。

矯正治療を禁止する法律制定に反対していた人々の主な反対理由は「自由の侵害」です。信教の自由とか宗教活動の自由とか、そういう自由を侵害するという危惧です。

昨日、やっと州議会上院で採決が行われ、賛成27票、反対9票で法案は可決されました。これにより、ヴィクトリア州では矯正治療が禁止されます。

他人の性指向や性自認を抑圧したり矯正しようとした場合には、最高で10年の懲役刑、あるいは1万ドルの罰金が課されます。

また、この法律の制定に伴い、家庭内暴力保護法も改定され、家族に対する性的指向や性自認の矯正治療は、家庭内暴力の一つとされます。

反対意見の中には、自ら性的指向や性自認を矯正したいと考える個人に対しての治療を不可能にするという意見があったそうですが、性的指向や性自認は電気ショック療法や嫌悪療法などで変更できるものではありません。

もしも自ら矯正したいと本当に望んでいる人がいたなら、その人が受けるべき治療は矯正治療ではなく、ありのままの自分を受け入れることが出来るようになるのを助けるカウンリングであるはずです。

そもそもね、ありのままの自分を受け入れられなくしているのは、環境なんですよ。

家族や教会や集団社会にあるんです。

どの子供も、人それぞれ皆んな違ってそれで良いのだと教えられて育てば、どうして同性愛であることや性自認のせいで苦しむ必要があるでしょうか。

法案が可決されて安心しました。

平等に人権が尊重される社会へ、また一歩前進です。


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