2021年2月25日

原因不明の症状を治す心理療法

先日、うちの娘がアルバイトを見つけたという記事を書きました。心理カウンセラーのクリニックの受付の仕事です。

このクリニックですが、Intensive short-term dynamic psychotherapy(ISTDP)と呼ばれる心理療法を行っているクリニックだそうです。

私は、自分や家族の病気のせいで、精神的な病気やその治療に関してこれまでいろいろ本を読んできたのですけど、Intensive Short-Term Dynamic Psychotherapy(ISTDP)というのは聞いたことがありませんでした。

グーグルしてみたところ、日本語でこの治療法を何と呼ぶのかすら分かりません。これを紹介する英文記事がありまして、その記事を紹介する文章や記事の一部和訳は見つけましたが、どうやらまだ新しい治療法のようです。

Intensive Short-Term Dynamic Psychotherapyとは「集中的かつ短期間でおこなう力動的な心理療法」ということですが、自分でかってな和訳をするのは避け、この記事では「ISTDP」と呼ぶことにします。

「ISTDP」というのは、原因不明の症状で苦しむ患者の無意識下に潜む抑圧されたネガティブな感情にアプローチし、その抑圧された感情を開放することで症状を緩和するという治療法です。じっくりと話をすることが治療の基本です。

例えば、「声が出ない」「脚が動かせない」「震えが止まらない」といった身体の不調があって病院で診察を受けても「原因は不明」とされるケースの中には、「精神的な要因」が原因である場合があることはよく知られたことです。

例えば、数年前に大ヒットしたTVドラマ「シャーロック」に登場するジョン・ワトソン医師がそうでした。アフガン戦争から帰還したワトソン医師は、トラウマ体験が原因でPTSDに苦しんでいます。右脚を上手く動かすことが出来なくなっており杖をついて生活していました。

定職に付けず、物価の高いロンドンで家賃を節約するためにアパートをシェアしようと考えたことからシャーロックと知り合うのですが、シャーロックと一緒に行動する中で症状が改善されて行き、第1話の後半では杖無しで歩けるようになっています。

あれなんかは、「精神的な要因」が原因の身体の不調の良い例でしょう。

原因不明の症状を心理療法によって緩和させようとすることは、特に新しいことではないのでしょうが、治療法として確立させたのが「ISTDP」のようです。

娘が受付として雇ってもらえたクリニックは、この「ISTDP」の治療者となるセラピストをトレーニングする資格を持つ専門家の精神科医が経営しているのだそうで、このクリニックだけでも10数名のセラピストが働いていますが、メルボルン周辺からトレーニングを受けに来るセラピストもいるそうです。

以前このブログで「その頭痛、原因はトラウマかもしれません」という記事を書きました。

更年期になって頭痛や胃腸の不調に悩まされている方や、気分が落ち込んで元気が出ないという方は、子供の頃のトラウマが原因かもしれないという内容の記事ですが、世の中には本当に「精神的な要因」が原因の身体の不調に苦しんでいる人が大勢います。

うちの夫は幼少期のトラウマを催眠療法とEMDR(眼球運動による脱感作および再処理法)で治療してもらいました。娘は、主に認知行動療法で症状を緩和してきました。

調べてみると、「ISTDP」は「Intensive(集中的な, 徹底的な, 激しい)」と言うくらいですから、患者の気持ちに寄り添う優しい対話を行うのではなく、時には故意的に過激な質問をして患者の感情を乱すこともあるのだそうです。

集中的に短期間で行うこの治療方法には批判もあるそうですけど、近年世界的に注目されて研究が進んでいるそうですから、新しい救世主となるかもしれません。

大変興味深いです。


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