2016年9月8日

R U OK?

「Are you OK?(R U OK?)」とは、怪我をしたかもしれない人や体調を崩しているのではないかと思われる人に「大丈夫?」とたずねる時のフレーズですね。

オーストラリアでは、9月の第2木曜日の今日は「R U OK?」デーです。

「R U OK?」とは、2009年にギャヴィン・ラーキン(Gavin Larkin)さんによって設立された自殺予防キャンペーン運動をおこなっている非営利団体です。家族や友人や仕事の同僚に「Are you OK?」と声をかけることで、一人で苦しんでいるかもしれない誰かを救うことができるかもしれないと呼びかけています。

広範な研究の結果、心の病気に苦しむ人にとって誰かに「大丈夫?」と声をかけられることが大きな意味を持つことが分かっています。苦しみを誰かに理解されることで得られる苦しみの軽減、声をかけられたことがきっかけで治療を受けることによる病状軽快など、心の病気は周囲の人々の理解とサポートが大きな影響をもたらすのです。

ギャビンさんのお父さんは、1995年に自殺されました。父親の苦しみに気づき、助けてあげられなかったことを悔やんだことが、この運動を始めるきっかけになったそうです。

「Are you OK?」の設立後、ギャビンさんにリンパ腫が見つかりました。病気はステージ4だったそうです。ちょうど同じ頃、12歳の息子さんに脳腫瘍が見つかりました。お二人ともすでに亡くなられています。大変お気の毒です。

しかし、ギャビンさんが始められた「Are you OK?」運動のメッセージは広がっています。

私自身「うつ」「不安発作」で苦しんだ経験があります。夫は「パニック障害」で何年も苦しみ、現在は「双極性2型障害」の問題を抱えています。娘も「不安症」「摂食障害」などで苦しみ、今でも不安定です。

我々家族は、心の病気や精神疾患をごく当たり前に会話の話題にしていますから、家族には理解されているという安心感がありますが、こういう病気や病気による症状を理解していない人達は大勢います。

理解されないということは病状悪化の原因になります。理解していない人々からの非難批判の言葉には大きく傷つくし、そうした言葉を聞くことの恐怖から病気を隠そうとするようになるのです。

非難批判をせずとも、病気が分かると距離を置くようになる人達も大勢います。話題にしない、見て見ぬふり、知って知らぬふり。そうしてそっとしておいてあげるのが良いことだと思っているなら大間違いなんです。

心の病気や精神疾患は、基本的に脳の不具合ですよ。そこのところが分かっていない人達が多すぎるのです。

「Are you OK?」デーの目的は、9月の第2木曜日に「大丈夫?」と声掛けをすることではありません。毎日を声掛けができる日にすることであって、心の病気を理解することです。

理解されないことへの不安があるから、心の病気に苦しむ人は自分からそれについて話しかけてはきません。だからこそ、周囲の人が「Are you OK?」「大丈夫?」と声をかけてあげましょう。

そのたった一言が、その人の命を救うことになるかもしれないのです。

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