ああ、しかし、15年も前のことなのだな、カイが生まれたあの日…。
私の妊娠期間は決して楽ではなかった。当時は、小学校の日本語教師だったが、とにかくつわりがひどくて、何ヶ月も吐き気との戦いだった。何か食べているとなんとか耐えられるので、果物を小さくカットしたものを教室の机の上に常備して、それをポリポリと食べながら授業していた。(もちろん校長も他の先生達も生徒達も、了解の上でのこと。)
そして、授業と授業の間にトイレに駆け込み、吐く…という毎日。そうやって仕事をなんとか続けていたのだ。(大変だったんですよ。)
やっと産休に入った頃から血圧が高くなり、体がむくみ、予定日の1週間前には血圧が危険なほど高くなったために入院させられた。血圧は下がらず、むくみもひどかったため、担当の医者から「もう予定日も近いことだし、陣痛促進剤を注射して産みましょう」と告げられた。私の誕生日の前日のことだった。
「明日は私の誕生日なんです。どうせなら同じ誕生日にしたいので、明日お願いします!」と頼んでみたが、病院の都合で出産は翌8日と決められた。
早朝より準備が始まり、8時前には分娩するための部屋に移動した。促進剤の注射をされ、まだ心の準備ができていないというのに、いきなり陣痛が始まった。夫は、前日の夜遅くまで増築していた家のペンキ塗りをしていて、まだ病院に来ていなかったので私は一人ぼっち。心配と、不安と、いきなり始まった陣痛の痛みで心細さは言葉にならない。
しばらくしてやっと夫がやって来た。促進剤が強すぎて陣痛が急激に強くなり過ぎ、どうにも我慢ができなくなってエピジュールをすることになった。大きな病院だから、スペシャリストが必要になるとすぐにやって来てくれる。
昼が過ぎ、午後3時を回り、夕方が近づいても、カイは生まれなかった。(頭がでかくてつっかえていたのだ。)夫は、疲れと寝不足で途中でいびきをかいて居眠りを始め、私は体力の限界が近づいていた。医者達が、やたらに深刻そうな表情になって来ていて、皆さんの私を励ます声にも焦りが感じられ始めた夕方5時半前、ああ、やれやれ、やっとのことで、カイが生まれました。
あの日が…遥か昔の出来事のように思える。
あの小さな赤ちゃんが、こんなに大きくなった。今日で15歳だ。
カイのバースデーケーキは、サチのバースデーケーキと同じブラックフォレストケーキ。二人が一番大好きな「お母さんのブラックフォレストケーキ」です。
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