いろいろ読んでみると、このワンチュク国王は、本当に気さくで誠実で謙虚な、見た目通りの人であるらしい。
有名な「国民総幸福量」という概念を提唱した、この人のお父さんである前ワンチュク国王がまた偉い。この人は大変開明的な王様で、ブータンを王様が国を治める絶対君主制から民主化させるために、自ら国内各地で国民を説得したという逸話がある。国民が民主化を求めて王様を倒すという話はよくあるが、君主制のままの方が良いという国民を、国の将来のためには民主化するべきだと説得して歩く王様というのは、聞いたことがない。
王様のリーダーシップによりブータンの政治は民主化され、2008年に憲法が公布されて選挙により首相が選ばれ、ブータンは絶対君主制から立憲君主制となった。王様は、民主化に合わせ、同年に退位して長男に王位を譲るとしていたが、早く息子に十分な政治経験を積ませたいからと、2006年の12月に譲位した。
このようなお父さんから「お前は特別な存在ではない。国民と国のために尽くすこと、それがお前の使命である」と教育を受けて育てられた現ワンチュク国王であるから、私達が目にする彼の姿は、パフォーマンスではなく本物なのだ。ブータンに住んでいる外国人のブログなどからも、この若き国王の飾らない謙虚な人柄は知ることができる。
先日、慶応大学で学生達に話をされている映像を少し見たが、「世界は科学の進歩によって発展したけれども、不公平な経済成長や環境破壊という課題が突きつけられている。私達の世代は、真の発展とは何なのかを考え直すことが求められいる。そうすることで本当に持続可能な成長が実現できる」と、とてもインスピレーションを与える内容だった。彼はオックスフォード大学で政治学を学んだそうだ。同大学で彼を知る人の話によると、パーティーなどにはあまり参加しない serious study(真面目に勉強している人)だったそうだ。
このワンチュク国王が、昨日、日本の国会で行った演説が素晴らしいです。震災の後、ブータンの人々がお寺で日本のためにお祈りをしてくれていたなんて知らなかった。私は、この演説を聞きながら、日本人が持つ本来の良い資質や文化というもの思い起こして、忘れかけていた誇りのようなものを感じましたよ。
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