2011年11月16日

心の病気について語ろう

チャンネル10の「The Project」という番組がある。平日の夕方6時半から7時半までの1時間、ジョーク連発のユーモアにあふれたエンターテイメント性のある番組であるが、非常に面白い話題や社会問題を取り上げたりする。

今日、彼らが取り上げた話題の中に、オーストラリアにおける自殺者数の問題があった。

オーストラリアでは、多くの人が心臓疾患と脳卒中で亡くなる。喫煙によって引き起こされる肺がんも死因の第3位に入っている。糖尿病患者も年々増え続けている。運動不足と食べ過ぎによる肥満の増加も大きな社会問題だ。交通事故でも多くの人が亡くなっている。こうした問題はメディアに取り上げられることも多く、政府のテレビコマーシャルなどでも頻繁に啓蒙活動が行われ、学校でも指導されている。

しかし、オーストラリア人の死亡原因の10位に入る深刻な問題であるにも関わらず人々が語ろうとせず、メディアもあまり取り上げないのが「自殺」だ。

メディアなどで自殺問題を取り上げると「それが引き金となって自殺する人が増える」とか「真似をして自殺する人が出る」という考えがあるが、統計的にこの意見を裏付ける証拠は何もないと言っていた。

ならば、なぜオーストラリア人は、うつ病をはじめとする精神疾患についてもっとオープンに話さないのか、もっと啓蒙活動を行わないのか、もっとこの問題に関する情報を広く提供し、苦しんでいる人やその家族にヘルプラインを行き渡らせないのか。番組は、そういった問題提起をし、ヘルプラインの電話番号を十数秒間映し続けた。

自殺率の国際比較を見てみると、現在オーストラリアは世界51位、日本は8位である。日本人の死亡原因では、がんや心臓疾患などに続いて自殺が7位となっている。悲しい数字だ。

私は、自分のうつ病のことを結構オープンに話して来たが、日本にいる自分の家族には詳しいことは言えなかった。理解してもらえないという不安が大きかったからだ。家族の方も何もたずねてはこなかった。話題にしてはいけない事と考えているような印象を受けた。オーストラリア側の家族は、もう少し理解があり、うつ病の事を話題にできる。私の夫がパニック障害で苦しんだ経験があるからだと思うが、心の病気のことは話題にしようとしない人は多い。

人々への啓蒙活動と教育が絶対に重要だ。精神疾患に対する偏見をなくし、正しい知識と治療に関する情報を広め、人々がこうした心の病気を正しく理解するようになれば、おのずと普通に話題にできるようになるはずなのだ。ヘルプラインなどのサポートネットワークをさらに充実させ、無料でいつでも助けてもらえることを広く知らせる事も重要だ。

だから、私も、このブログで機会があればいつでも、心の病気に関する話題を取り上げていきたい。


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