2011年11月22日

カンタス労使交渉やっぱり決裂

先月末、労使紛争の続いていた「カンタス航空」は、国内線及び国際線全便の運航を停止させて、世界中で大混乱を引き起こしたが、連邦政府の要請を受けて緊急審理を行った労使裁定機関 Fair Work Australia (FWA) が労組側にストライキの即時中止、労使双方に対して21日間の交渉期間内に労使問題を解決するように命令を出していた。

21日が過ぎた。もちろん、カンタス社の労使は合意には至らなかった。交渉は決裂!「そりゃあそうでしょうよ」と私は思った。

賃上げや労働条件改善に関しては、合意の可能性があったかもしれない。しかし、国際線の赤字に悩むカンタス社経営陣は、とにかくコストを削減したいのだ。そのためには、人件費の安い海外へ一部の事業拠点を移したいのだ。海外子会社を設立するなり、事業の一部を外部委託するなり、契約従業員を増やすなり、コストの削減はカンタス経営陣にとって絶対に取り組まなくてはならない最重要課題なのだ。

しかし、パイロット、整備士、地上職員の3労組は、仕事の保障が最重要ポイントなのだから、絶対にこれを認めるわけにはいかない。労使が歩み寄れるはずがないのである。

21日経っても労使はやっぱり合意に至らなかったので、FWA の強制的な裁定に委ねることになった。しかし、FWA にとってもこの「カンタス航空」の労使紛争に裁定を下すためには、様々な事情を考慮する必要があり、裁定が下されるまでには何ヶ月もかかると見られている。

ただ、どう考えてみても、赤字に悩む「カンタス航空」に対して、コスト削減を不可能にするような裁定を下せるはずがない。コスト削減に取り組まなければ倒産してしまうではないか。「人件費の安い海外へ拠点を移してはダメですよ。オーストラリア国民を雇って、たとえ経費が高くついてもオーストラリア国内で事業は続けなさい。従業員の給料ももう少し上げてあげなさい。人件費の安い外国人を雇ったり、外部委託とかしてはダメですよ。」なんて裁定になるわけがない。

裁定は、経営側に有利な内容になるだろうと思う。

そうなったら、カンタスの従業員達が黙ってその裁定を受け入れるとは思えない。法律的には受け入れなくてはならないはずだが、再び労使紛争の大混乱が起きるかもしれないのだ。


お帰りの前に1クリックを!



0 件のコメント:

コメントを投稿