2021年8月2日

出世する人の特徴とは

運転に適性な視力が無くなり免許証を返納したうちの夫は、通勤しやすい我が家から近い店舗に転勤となったわけですが、以前勤めていた店舗はツールショップとしてはヴィクトリア州最大です。

夫を送って行った時に店舗の中を見せてもらいましたけど、巨大体育館と言った感じの広さでしたから「これは泥棒をしやすいなあ!」と思いました。

実際、頻繁に泥棒に入られています。

店舗のある地域性もあって、売上はツールショップ会社がオーストラリア国内で経営している全店舗中2番目の売上を誇るのだそうです。ヴィクトリア州ではもちろんナンバーワンです。

うちの夫はその店の管理職の立場にあったわけですが、夫が別の店に異動せざるを得ないと分かった時、夫がいなくなった後に誰がチームを率いていくのかというのが懸案の問題となりました。

というのも、店長格だった人にリーダーとしてはメンタルが弱過ぎることが分かるようなスキャンダルがありまして。会社に大損をさせていたことが分かって平スタッフに降格しました。

その後どうなったのか私は聞いていなかったのですけど、先日夫の買い物のために運転手をやっていた時にその話題になり、誰が店長になったのかと聞いたら、なんとあの若いA君が抜擢されたと言うんですよ。

お父さんとお母さんがフィッシュ&チップス(及びギリシャ料理)の店をやっているあのスタッフA君です。まだ20歳代半ばです。

うちの夫がA君のことを色々褒める最大の理由は、彼の仕事に対する姿勢でした。英語で「Work Ethic(労働倫理)」とも言われます。

A君のご両親がやっているフィッシュ&チップスの店にうちの夫と立ち寄った事があるのですが、その時にA君の責任感と真面目に仕事を頑張る姿勢は彼の両親から来ていることが分かりました。

お店はごみ一つ落ちていなかったどころか、壁も窓も何もかもがピッカピカで、床はそのまま座って食事ができそうなほど掃除が行き届き、明るく感じの良い働き者のご夫婦でした。

ご両親というので想像していたのとは大違いで、まだ40歳代ですから兄姉かと思うくらいに若く見えたので驚いたんですけど。

A君は、ほぼ休み無しで毎日夜遅くまで働く両親を見て育っているんですよ。

そんなA君は、

責任を持って真面目に仕事を頑張る
人の話やアドバイスをよく聞きツールのことを勉強する
文句を言わず他のスタッフやお客の悪口を言ったりしない
この仕事を自分のキャリアにして成功したいという思いがある

こういう資質を持つ若者ですからね、伸びていくのは当たり前なんですよ。

会社の上司(例えばうちの夫)に期待されていましたから、期待に応えたいというのと自分にとってチャンスだと自覚しているので更に努力するのです。

そして幸運なことに、A君はメンタルが強くてリーダーシップもありました。

あの若さで、自分よりも年上のスタッフがいっぱいいるチームを率いていくには、強いメンタルとリーダーシップが不可欠です。真面目に頑張るだけでは人の上には立てません。

ということで、

ヴィクトリア州最大のツールショップの責任ある立場の仕事を任されたA君は、頑張っているそうですよ。先日は商品を盗んで逃走した泥棒を追いかけてタックルしたそうです。泥棒はタックルしてきたA君に対して注射器を取り出しました。

この場合の注射器は武器ですから、武器を使った盗みは「強盗」です。

ご存知でしたか?こっそり盗むのは「Thief」で暴力や武器を使って盗むのは「Robber」です。注射器強盗は、駆けつけた警察に現行犯逮捕されました。

A君は泥棒を追いかけ行くような若者ではなかったのに、責任感のために強くなったのでしょうか。うちの夫が泥棒と取っ組み合った時に、その場にいたのかもしれません。この事件では、会社の経営者達に更に好印象を与えることになったのでございます。

フィッシュ&チップスをやっているご両親もお喜びでしょう。


優れた資質があり、頭も良くて非常に優秀で、リーダーシップもあるけど、人の上に立つ仕事をしたくないという人もいます。

通勤ルートを少し遠回りしてうちの夫を乗せてくれているJさんは、元オーストラリア軍人ですが、身体にも精神にも大きなダメージを受けていらっしゃるのだそうで、仕事で成功したいとか出世して稼ぎたいという気持ちが無いそうです。

Jさんが望むことは、穏やかな普通の暮らし。まだ幼い子供達と過ごす時間が持てる仕事、家から近くて通勤がラクなこと、それで暮らしていけるだけの収入があればそれで良いのだそうです。

オーストラリア軍を辞めた後、自分の次のキャリアとして救急救命士を考えたそうですが、トレーニングや勉強が大変ですし、勤務時間が不規則になる上にストレスが溜まる仕事ですからね、結局ツールショップに勤めることにしたんだそうですよ。

ただのスタッフをしているには惜しい能力のある人なので、それは直ぐに気づかれます。

昨年の初め、新型コロナが始まった頃、ツールショップ会社は手指消毒薬の需要を見込んでエチルアルコールのメーカーを買収しまして、大手スーパー等に手指消毒薬を独占的に提供する契約を結ぶなどして大きな利益を上げたのですけど、それにはJさんの提案も関わっていました。

Jさんには一つの店舗のただのスタッフにとどまらず、もっと上の立場の仕事を任せる話もありましたが、Jさんはただのスタッフでいる方を選びました。ストレスが溜まる仕事はしたくないのです。決まった時間だけ働いて給料をもらえるただのスタッフの仕事がJさんの希望なのです。

A君のように成功を目指して頑張る人もいれば、ただ普通の暮らしができるだけの収入さえあれば良いというJさんのような人もいます。

いろいろな考え方の人がいてあたりまえですからね。


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