新型コロナの感染拡大にアフガニスタンの混乱にと、毎日気が滅入る様なニュースばかりですが、先日とてもいい記事を読みました。
シドニー大学で医学を学んでいる21歳の学生ジャシンダ・ホルツマークさん(Jacinda Holtsmark)に関する記事でした。
新型コロナの感染者が爆発的に増加しているシドニーではロックダウンが続いており、シドニー大学でも講義がオンラインで行われています。
その日、ジャシンダさんはビデオ会議アプリで医療科学の講義を聴いていました。講義を行ったのはラルフ・コーエン教授でした。
ジャシンダさんは、コーエンという名前に聞き覚えがありました。子供の頃から「ドクター・コーエン」という言葉を聞き続けて来たからです。
と言いますのは、ジャシンダさんは1歳になるかならないかの頃に、お腹に異常な膨らみがあるのが気になったお母さんが医者に連れて行きまして、複数の医者から気にしなくて良いと言われたのだそうですがX線検査をしてもらったところ、両方の腎臓にガンがあることが分かったのだそうです。
その腎臓のガンを取り除く手術をした外科医の名前が「ドクター・コーエン」だったんですよ。
「ドクター・コーエン」の手術は大変うまく行き、ガンが除去されただけでなく腎臓も保存され、1年半の治療の後、腎臓移植も不要で、ガンも再発せず、ジャシンダさんは無事に成長して現在はシドニー大学で医学を学んでいるということなんです。
検査のために定期的に病院を訪れているジャシンダさんは、治療の際にお世話になった人々に会う機会がありましたが、手術をしてくれた「ドクター・コーエン」には20年間一度も会う機会が無かったそうです。
その日、オンライン講義をしているコーエン教授が、もしかしたら自分の命を救ってくれた「ドクター・コーエン」かもしれないと思ったジャシンダさんは、講義中のコーエン教授の写真を撮って両親に送り、この人が「ドクター・コーエン」かとたずねたそうです。
すぐにお父さんから返事が来ました。
「あの人の顔は絶対に忘れない、その人だ!」(I’d never forget that face, that’s him.)
それを聞いてジャシンダさんは泣きそうになったそうです。
オンライン講義には学生の質問に答える時間が設けられています。その質問の時間を使ってジャシンダさんは、コーエン教授に言いました。
「あのう、すみません、これは質問ではないのですけど、今私は大変ショックを受けているんです。実は、先生は2001年に私の手術をしてくださった方だと思うんです。あなたは私の腎芽細胞腫の手術をしてくださったんです。ずっとお礼を言いたかったんです。本当にありがとうございました」
驚いて一瞬言葉を失ったコーエン教授にジャシンダさんは言いました。
「今カメラをオンにします。ああでも、先生は私の顔を見ても分からないですよね、私はあの時赤ちゃんでしたから」
コーエン教授がその後おっしゃったことも素晴らしいのですよ。
「これは、小児外科医であることの大きな特権の一つです。誰かが成長した後に、再びその人のために何かをする機会があるのですね」
コーエン教授は、ジャシンダさんのことを覚えていらっしゃいました。ジャシンダさんの病気に関する論文も書いておられたのです。そして、ジャシンダさんは、その論文を一部読んでいたそうです。
命を助けられたことから医学の道を志し、ガン治療の研究者になることを目指して勉強するジャシンダさんが、命を助けてくれた医者とこの様な形で顔を合わせることになるとは、何という巡り合わせでしょうか。
良い記事でした。
頭を左右に動かすとクラクラすることに気づいたので、頭を動かす運動もしています。
睡眠は、相変わらず夜中に目が覚めますが、明け方に少し眠れることもあるし、昼寝ができることもあります。少しでも眠れると気分が全く違います。
ほぼ普通の暮らしができるようになり、健康であることのありがたさを痛感しています。
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