2021年4月10日

ブランディ・カーライルの歌「ザ・ジョーク」

私の風邪はほぼ良くなりました。

三日間寝ましたが、ずっと寝ているのも退屈ですから iPhone で動画を見たりしていたのですが、YouTube のオススメ動画で表示されたおかげで久しぶりに聞いたのが「ザ・ジョーク」(The Joke)という歌でした。

「ザ・ジョーク」は、アメリカのシンガーソングライター兼プロデューサーのブランディ・カーライルさんが2017年に発表した歌で、翌年グラミー賞も受賞しています。初めて聞いた時に心が揺さぶられるような感動を覚えたものです。

英語の歌の歌詞を全部理解するのは私には不可能ですので、初めて聞いた後に直ぐに歌詞を調べたのですけど、歌詞はメタファーにあふれていました。でも、その意味するところは明らかです。

この歌は、弱い立場の人々へのメッセージなのです。

前半は、男性に向けたメッセージ。「男はこうあるべき」という固定観念のある社会では、それに沿わない人は偏見や差別にあったり、笑い者にされたり仲間はずれになったりするものです。学校でいじめを受けることも多いです。

後半は、女性に向けたメッセージ。「女はこうしてりゃいいんだ」という不平等が根強い男社会で、頑張っているけどくじけそうになる人は多いです。夢を持ち、何かを成し遂げたいと思っても、理不尽な障害はたくさんあるのです。

生きづらさを抱えて悩んだり苦しんでいる人達は大勢います。それは偏見だったり、差別だったり、不平等だったり。

そんな生きづらい社会で悩み苦しむ人々に、カーライルさんは歌います。

笑いたい人達には笑わせておきなさい
やらせておきなさい、好きに言わせておけばいい 今のうちだけよ
私もいろいろな映画を見てきたけどね、結末は分かっているんだから
笑いものになるのはあの人達なのよ

確かにその通りですよね。周囲の声に邪魔されながらも夢をかなえたり幸せを見つけたりする人と、それをバカにしたり邪魔したり批判するだけで結局何も成し遂げない人。映画の主役は前者ですよ。

「周囲の声を気にしなくてもいいのよ」「頑張って」と歌っているのですけどね、音楽が非常にドラマチックで感動的なんです。

私達人間は「みんな違ってあたりまえ」なんですから、自分の価値感で他人を判断したり批判したりせず、一人一人の個性や違いを理解し、尊重し合えたらどんなにいいか。しかし、なかなか世の中は変わりません。

この歌は、私のブログのテーマソングにしたいくらいに気に入っていまして、いつか紹介したいなあと思っていたのです。

歌詞の翻訳も考えましたが、メタファーをどう訳そうかと悩みました。文字通りに訳すとヘンテコになりますから、やはり意訳してメタファーが意味することを書かないといけないと思いましたけど、その記事は途中止めになっていました。

そして昨日、再び YouTube でミュージックビデオを見た後に、偶然なんですけど日本語字幕付きのミュージックビデオを見つけたんです。

日本語訳はかなりいいです。時々見かける「おいおいそれは違うでしょ!」というほどの誤訳はありません。メタファーは意訳されていて意味が伝わります。

この歌をご存知でない方、聞いたことはあるけど歌詞をよく知らないという方、聞いてみて下さい。短い字幕の和訳だけでは伝わらないニュアンスもありますから、英語の歌詞も読んでみてくださいね。「the joke lyrics」で検索すると見つかりますよ。



カーライルさんの国アメリカでは、トランプが大統領に選ばれた2016年の大統領選挙の頃から社会の分断が進み、非常にネガティブな社会政治的な状況の中で、偏見や差別感情を発言することが言論の自由とか権利とかいうもので正当化されて、人々が躊躇すること無く弱者や主流から外れた人々を攻撃するようになりました。

カーライルさんは、こうした社会政治の傾向を軽蔑していたそうです。

こうした状況の中で、多くの人々が居場所がないと感じ、社会から愛されないと感じ、孤立感を強めていきました。そうした人々には、トランスジェンダーの人達も含まれます。

この「ザ・ジョーク」という歌は、そうした人達に捧げる詩だそうです。

「強くなって」「頑張って」「明るい未来は必ずいつかやってくるから」と、彼らを励ますために書いた曲だそうですよ。


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