2017年4月25日

ANZACの日と戦争のこと

今日4月25日は、アンザック・デー(ANZAC Day)です。オーストラリアの重要な祝日の一つです。

ANZACとは、Australia and New Zealand Army Corps(オーストラリア・ニュージーランド軍団)の略で、なぜ4月25日が祝日になっているかというと、1915年4月25日にオーストラリア・ニュージーランド軍団の兵士達がトルコのガリポリに上陸したことに由来します。

第一次世界大戦のガリポリの戦いは、オーストラリアでは大変有名な話ですが、日本ではほとんど知られていません。私もオーストラリアに来るまでは詳しく知りませんでしたが、メル・ギブソンが主演した映画「誓い」で、ガリポリの名前は聞いたことがありました。この映画の原題は「ガリポリ(Gallipoli)」なのです。監督は、ピーター・ウィアーです。

この映画、前半はオーストラリアの雄大な風景を舞台に、メル・ギブソン演じる主人公と仲間の青年たちが、軍隊に志願するか否かを悩む青春ドラマが描かれ、後半はイメージしていた憧れの戦場とは全くかけ離れた、凄惨で無慈悲な戦争の現実を描いています。

初めてこの映画を見終わった時から現在に至るまで、ガリポリの戦いの事を考えるたびに非常に胸が詰まるようなつらい気持ちになります。

第一次世界大戦は、オーストラリアとニュージーランドにとって、本格的な戦争としては初めての参戦でしたが、ガリポリの戦いだけでも甚大な犠牲を出しました。オーストラリア・ニュージーランド軍団の被害だけで、1万人以上が戦死し、戦傷者は2万5千人です。相手のオスマン帝国(トルコ)軍の方の犠牲者は、比較にならないほど甚大でした。

また、ガリポリの戦いは、戦線が膠着してからの塹壕戦の悲惨が有名で、非常に長びいた塹壕戦のために、連合軍の兵士約140,000人が腸チフスや赤痢で病死したと推定されているそうです。

オーストラリア・ニュージーランド軍団のガリポリ上陸の日であった4月25日は、オーストラリアでもニュージーランドでもアンザック・デー(ANZAC Day)として、ガリポリの戦いに参加した兵士だけでなく、戦争に参加した全ての兵士のための記念日になっています。

この日は、ドーン・サービス(Dawn Service)と呼ばれる戦没者慰霊式が、夜明け前に各地で行われます。戦死兵士の家族だけではなく、兵役経験者や現役の軍人やその家族、また現在アフガニスタンやイラクなどで任務につく人々の家族など、多くの人が慰霊式に参列したり、その後の行進に参加したりします。

第二次世界大戦後も、朝鮮戦争、ベトナム戦争、最近では中東諸国などで繰り返される戦争紛争にオーストラリアは兵士を送っていますから、戦争は現在進行形なのです。

日本が再び戦争をするようなことにならないことを祈ります。


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