2011年12月30日

恐くて優しいサングラスの女警察官

年末が近づいて来た。大掃除をする元気はないが、ある程度は家をきれいにして新年を迎えたくなり、クリスマス飾りを片付けて掃除をした。

ふと見ると、デスクの上にヴィクトリア州警察から届いたスピード違反の通知書が…。

このスピード違反の顛末は、先日のブログ記事でお読みいただくとして、納得のいかないスピード違反であるけれでも、違反は違反であるから罰金を払うしかないと友人も夫も言う。

「そんな…、たったの4キロよ。いつもノロノロ安全運転の私なのに…」
「しかし、4キロオーバーしていたんだよ。警察は証拠を持っているわけなんだし、払うしかない。」

どうにもならないと、みんなが言う。それでも納得がいかず、デスクの上に置いたままにしていた通知書。罰金153ドルの支払い期限は1月7日。

「ああ、やっぱり身の回りをきれいにして新年を迎えたいよねえ。しようがない…」

私は、自分が犯した(たった4キロの)速度違反の罪を受け入れることにして、オンラインの決済システム BPAY で罰金を支払った。

罰金を払い終えた後、息子がショッピングセンターに連れて行ってほしいというので、近くのイーストランド Eastland へと車を走らせていたら、警察が飲酒運転取り締まりの酒気検査をやっていて車を止められた。

ブレステスト Breath Test というやつで、黒い酒気検査器にプラスチックのチューブが取り付けてあり、ドライバーにそれをくわえさせて息を吹き込ませる。これで血中アルコール度を調べるのだ。

私はクリスマス以来酒類は口にしていないので100%自信満々であった。

思いっきり息を吹き込む。黒いサングラスのブロンド美人警察官は、「ハーイOKです、行っていいですよ!」とは言わなかった。

「車両登録料は支払っているんですか?」と、恐ろしい声で言った。
「ええっ?」

オーストラリアでも、車両を所有する場合は、毎年、登録料を支払わなくてはならない。車両登録料を支払い、送られてくる登録証明ステッカーをフロントガラスに張っておくことが義務づけられている。今年は、その登録料の支払いを夫が光熱費の支払いと一緒に BPAY でやってくれたので、私はそのことをすっかり忘れていた。私のカローラには、期限切れの古いステッカーが貼られていた。

「は、払いましたよ。払ったはずです」
「ステッカーはどうしたんですか?」
「すっ、すみません。忘れていました。家に帰ったらすぐに貼ります」
「調べますからこっちに車を移動させてください」

黒いサングラスをかけた男警察官もやって来た。私は、酒気検査をやらされている後続の車の邪魔にならないように車を移動させられ、男警察ににらまれながら、女警察が車両登録の問い合わせをするのを見守った。

(夫はちゃんと支払ってくれているのだろうか。払ったと言っていたのを聞いた覚えがあるが…。ステッカーはどこにあるのだろう…。見た覚えがない。)

びくびくして待っていると、女警察が恐ーい声で言った。

「車両登録料は支払ってありました。ステッカーはどこにあるんですか?」
「いぃ、家にあります(と思います…)」
「有効なステッカーを貼っていないのは、罰金の対象です。」
「えぇっ、そんな。(これ以上罰金を払う経済力は我が家にはない!)」

動揺する哀れな私を、黒いサングラスでじっと見る女警察。

「家にあるんですね? 」
「はい、(たぶん…)」
「帰ったらすぐに貼り替えなさいよ」
「はい、家に帰ったらすぐに貼り替えます!」
「じゃあ、行っていいです」

私は女警察に心から感謝を申し上げて、解放してもらった。

ステッカーは、夫のデスクの上を埋め尽くす大量の書類とゴミくずと道具と事務用品類とその他モロモロの堆積物の山の中から見つかった。

女警察に約束した通りすぐに貼り替えました。

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