昨夜は、娘のサチが何年もダンスを習いに通っていたダンススクールのコンサートに行った。通っていたと過去形になっているのは、今年の4月頃にやめてしまったから。リングウッド・バレエ・グループ Ringwood Ballet Group という学校で、メルボルン東郊外のこの地域では、ダンススクールとしてトップクラスの学校である。
この学校は、生徒の保護者代表と教師とからなるコミッティにより運営されている。多くの保護者が様々な活動をボランティアとして支えており、レッスン料は誰でも支払える程度の金額で、クラシックバレエ、ジャズ、タップ、キャラクター(民族舞踏)、ピラテスのクラスがある。
毎年年度末の12月には、コンサートを開いている。コンサートは木金土の3日間で5回も上演され、各コンサートの前半は学校の発表会的な部分、後半はコンサートの呼び物となるクラシックバレエの演目となっている。このバレエの演目の方が、もう大変大掛かりなショーなのであって、ただの学校の発表会ではないのだ。
今年の演目は「眠れる森の美女」。クラシックバレエ作品の最も有名なものの1つで、チャイコフスキー作曲の有名なバレエ音楽は、聴いたことがある人も多いと思う。あらすじはディズニー映画のおかげでよく知られているが、バレエ版のストーリーはディズニー映画とは少し違う。しかし、それをここで説明するのはやめておく。
このバレエの演目には、小学校の中学年レベル以上のほぼ全生徒が出演する。生徒数が多いので、演出する先生も大変だ。衣装の数も半端ではない。舞台装置や背景幕、小道具の製作も、日頃学校の運営に協力しているお母さん達だけではどうにもならないので、お父さん達も参加する。装置の運搬搬入も大仕事だ。
主役、準主役以外の役も、群舞ではない役については、希望者がオーディションを受け、その結果によってキャスティングされる。今年は、多くのシニアクラスの生徒が卒業したりやめたりしたので、ソロを踊る生徒の中にはサチと同じクラスだった中学1年生の子もいて、メンバーが大きく入れ替わった。
しかし、毎年毎年、悪役を勤め続ける人が一人いる。ジャニーン先生だ。
この人がすごい!誰にも真似できない悪ぶりがすごい。今年はもちろんオーロラ姫にのろいをかけるあの悪い魔女の役だ。ディズニー映画ではこんな魔女だった。
ジャニーン先生の魔女は、もっとエレガント。衣装も、色は黒だがゴージャスな感じ。だがしかし、キャラクター的にはもっと邪悪で陰険な、本当に心の底から悪者の中年魔女って感じ。
いつもながら見事な悪役ぶりであった。
ショーの終わりのカーテンコールでは、出演した生徒達に大歓声が送られたのだが、ジャニーン先生が登場すると「ブーーゥ!」「ブーーゥ!」と盛大なブーイングが浴びせられて、舞台の上のジャニーン先生がニヤリと口元をゆがめて客席をにらんだのが見事だった。
それにしても、「眠りの森の美女」は上演時間がとにかく長い。昨夜のコンサートは、7時に始まって終わったのは11時過ぎであった。生徒たちは、あの後、衣装を脱いで、着替えて、荷物をまとめて帰宅し、メイクアップをとって、顔を洗って、寝て、明日の昼のコンサートに備えなければならない。ウォーミングアップは楽屋入りの1時間は前だから、朝もゆっくりは寝ていられないのだ。昼のコンサートの後は、すぐに5回目となる土曜日夜の最後のコンサートがある。
生徒達は毎年10月から土日は練習につぶれ、親も衣装作りや背景作りに追われる。コンサートの週は、水曜日のドレスリハーサルから学校は休んでコンサートに集中する。生徒達も大変だが、サポートする親も大変なのだった。
サチはダンスをやめてしまったので、私はもうこの毎年恒例の大プロダクションに参加することもなくなった。苦労もなくなったが、楽しみもなくなった。
ちょっと残念。
お帰りの前に1クリックを!
0 件のコメント:
コメントを投稿