キッチンに戻ると、そのハエがブンブンと羽音を響かせて飛び回っていた。我が家にはハエたたきも殺虫スプレーもないから、ハエには外に出ていただくことにしてドアを全開にした。(他のハエが入ってくる可能性も大いにあったが、リスクは覚悟の上。)
しばらくしてハエは外に出た。
「おおっ、うまくいったぞ」とドアを閉めようとしたその時、そのハエは戻ってきた。戻ってくるか、普通?
私はあきらめて仕事に取りかかったが、そいつはキッチンから私の後をつけて仕事部屋に侵入。ブンブンと羽音をたてて飛び回りながら、しきりに私の頭にとまったり顔をつついたりしてとにかく鬱陶しい。
「このぅ!」
私は、引き出しから大きめの定規を取り出した。定規でひと叩きにしてやろうとしたのだが、どういうわけかハエはどこかへ姿を消した。
「逃げたか?まぁいいか…」
私は再び仕事に取りかかった。
すると、どこからともなく姿を現したハエがデスクの周りを飛び回る!気がちって仕事に集中できない。今度こそ、なんとしても殺ってやるぞと決意を固め、定規を手に待ち仁王立ちで構えていたが、私の殺意が伝わったのかハエはまたもどこかへ姿を消した。
昼になった。
ランチのためにキッチンへ行くとあのハエがいた。しかし、ここは冷静になって外に出ていただくことにして、再びキッチン横のドアを全開にし、ハエを誘導する。が、しかし、ハエは大馬鹿だった。あれほど大きく広く開けてやっているのに、ドアのすぐそばまで行きながら外に出ない!
「この馬鹿がぁ!早く出てよぉ!」と追い立てるものの、馬鹿だから出ない。 両手を振り回して必死に誘導してやっているのに、馬鹿ハエはキッチンの中をブンブンと飛び回るばかりだ。
あきらめてドアを閉めようとしたその時、ああ、なんということか!もう一匹のハエが入って来てしまった! 怒りは最初の馬鹿ハエに向かう。
「あんたがさっさと出ないから、もう一匹入ったじゃないのぉ!」
ところが、この2匹目は、入って来たと思ったらすぐ外に出た。賢いハエであった。
再びリスクを覚悟でチャンスにかける私。ドアを全開にして馬鹿ハエを追い立てる、というか誘導しているのですよ、外に出してあげるために。 しかし、この馬鹿ハエはブンブンと狂ったように飛び回るばかり。
「せっかく親切に外に出してあげようっていうのに…」
私はすっかりあきらめた。
「そのうち死ぬでしょ。どこかの窓の下に転がっているのを見ることになるわけよ。命を助けてやろうと思ったのにねえ…」
そして、今朝のことです。
あわれ、馬鹿ハエは、こんな所で命を落としておりました。
キッチンの窓下に置いていた小さな花瓶 |
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