2024年6月7日

モルモン教のお葬式

昨日は、先日から何度か話題にしたうちの夫の同僚Cさんのお父さんのお葬式に行って来ました。

認知症が悪化して脳のがんも見つかり、血栓による下肢の壊死や腎臓が機能しなくなったことなどでひどい人生の終わり方をされたんです。

私はCさんのことは良く知りませんし、Cさんのお父さんにはお会いしたことも無かったのですが、うちの夫にとっては親友であるCさんのお父さんですからね、夫はお葬式に行きたかったのですよ。

私が車で送って行かなくてはいけませんでした。葬儀の後はヒールズビルという町の墓地での埋葬にも出席したいと言うので、私はどこかで夫を待つよりも一緒に出席した方がいいだろうと思って、私もお葬式に出席することにしたんです。

葬儀は教会で行われました。Cさんの家族は「末日聖徒イエス・キリスト教会」の信者なのです。「モルモン教」と通称されていた教会です。今でも一般的にはそう呼ばれています。

モルモン教は服装に関しては保守的なので、ちゃんとした服装で行くべきだと夫が言うもんですから、私は黒いパンツスーツで行ったんですよ。

お昼前に夫を迎えにツールショップに行きました。夫はツールショップの駐車場でユニフォームのポロシャツを脱いで白シャツに着替え、ネクタイをしてジャケットを着ました。上半分はちゃんとした服装、下半分は仕事用の黒いワークパンツと安全靴です。

変な格好でしたよ。ズボンも着替えたら良かったのに、駐車場で着替えると決めていましたからね、それは出来なかったらしいんですけど。

教会にはいろんな服装の人がいました。全身真っ黒なのはおそらく私だけだったでしょう。アニマルプリントの服や赤いセーターを着た人もいましたし、日常着と言える服装の人も大勢いました。イヤリングなどアクセサリーを付けている人も多かったですし、あまり気にする必要は無かったようです。

ただし、男性は黒のスーツ、白シャツに黒のネクタイの人が多かったです。

Cさんのお父さんはシドニーさんという名前でした。会計士をされていたそうです。若い頃には信仰をお持ちではなかったそうです。世界中を旅行されて、カナダでカナダ人のシャーリーさんと出会われました。

結婚後はカナダに住んでおられたそうですが、4人の息子さんが生まれた後、家族でオーストラリアに戻ったそうです。末っ子であるCさんだけがオーストラリアで生まれたそうです。

その後、どういう経緯か知りませんがモルモン教の信者になられたのです。

葬儀では、シドニーさんの60年来の親友だったという方と、奥さんのシャーリーさん(Cさんのお母さん)、Cさんのお兄さんの一人、孫娘の一人、そして最後にビショップと呼ばれる教会の方が生前のシドニーさんについて話をされました。

シャーリーさんは、脳のがんのため認知症の症状が出ているのですが、昔のことはまだ良く覚えていらっしゃって、シドニーさんとの思い出をユーモアたっぷりに話されました。

皆さんの話が長くなってしまって予定時間をオーバーしたのですが、シドニーさんのことをいろいろ知ることが出来ましたよ。

一言で言えば、「グッドマン」(良い人)だったそうです。良い夫であり、良い父であり、良い祖父であり、良い友人であり、良い(正しいことをする)会計士だったそうです。

信仰を大事にして誰にも親切で誠実で、酔っ払ったことなど一度もなく、エクレアとシュークリームが大好きで、何かを教えようとすることは無くて常に提案や助言をする人で、ゴルフとテニスを愛し、エッセンドン・フットボール・クラブの大ファンで、ピアニストでもあったそうです。

Cさんのお母さんがピアニストで長年ピアノの先生をされていたことは知っていましたが、お父さんもピアニストだったとは知りませんでした。だからCさんの家の居間にはグランドピアノがあるんですよ。元々はピアニストだったシドニーさんのお母さんのグランドピアノだったそうです。

息子さんが子供の頃の思い出として、夜ベッドに入ってからお父さんが弾くベートーベンが聞こえてくるのを聴きながら眠るのは素晴らしかったという話をされました。うらやましい話です。

シドニーさんご夫婦にはCさんを含めて5人の息子さんがいらっしゃって、そのうち2人はすでに故人なんですが、19人も孫やひ孫がいらっしゃるのだそうです。

教会にはその大家族が集まっていました。家族の友人達や教会の仲間の皆さんも大勢集まっていましたから、教会は座るところが無いほどいっぱいでしたよ。

そういうところからも、シドニーさんの人柄が忍ばれるわけです。


葬儀が長引いたので、大急ぎでヒールズビルの墓地に向かいました。教会から30分以上かかりました。私はかつてヒールズビルの町に住んでいたのですけど、教えていた小学校にはその墓地の横を通って通勤していたので、場所はよく知っていました。

ゴルフ好きだったシドニーさんは、この町にあるカントリークラブを頻繁に利用されていたそうで、お元気だった頃にここに墓地を購入されていたのだそうです。

埋葬は短い儀式でした。シドニーさんはとても立派なお棺に入れてもらって、あんなに大勢の家族や友人達に見守られて埋葬されたのですから、本当に「良い人」だったのだろうなと思いました。

あのような残念な人生を終わり方をされたのは、お気の毒でした。

シドニーさんは認知症で介護施設に入っておられたわけですが、Cさんは毎週火曜日と木曜日にお父さんに会いに行き、毎週土曜日にはお母さんのシャーリーさんも一緒に決まったレストランで一緒に食事をして過ごすというのをずっと続けておられたそうです。

Cさんは本当にお父さんを大事にされて来ましたし、お母さんの脳のがんが見つかってからは同居して世話をされています。うちの夫が車の運転が出来なくなってからは通勤を助けてくださったし、引っ越しの時も何度も手伝いに来てくださいました。

Cさんは敬虔な方です。親切で誠実で非常に気遣いをする方です。仕事は真面目で責任感の強い方です。ツールショップで働くには学歴も職歴も良過ぎるのですが、家から近くて4時に仕事を終えられて、土日は休みで仕事上のストレスが無いということから、ツールショップで働き始めたと聞きました。

Cさんのこういう人柄がどこから来たのか、昨日の葬儀でよく分かりました。


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