ミンストミート(Minced Meat)というのはひき肉のことですが、ミンスミート(Mincemeat)というのは、ミンスパイの材料になる干しぶどうなどのドライフルーツと砂糖やスパイスを混ぜたもののことです。
この諜報作戦がミンスパイと何らかの関係があるわけではなくて、「ミンスミート」というのはこの作戦のコードネームなんですけど、極秘で実行されるこの手の諜報作戦には変ったコードネームが付けられることが多いですよね。
まんまとナチス・ドイツの上層部ひいてはヒトラーに大ウソを信じ込ませることに成功したこの作戦は、作戦を計画実行した中心メンバーの一人である英国諜報部員ユワン・モンタギュー(Ewen Montagu)海軍少佐が後年「The Man Who Never Was」(存在しなかった男)という本に書いたのを元にして映画が作られているんですけど、昨年新たに映画化されたそうなんです。
映画のタイトルは「Operation Mincemeat」(邦題:オペレーション・ミンスミート - ナチを欺いた死体)です。
友人のエクリーさんがこれを観に行ってとても面白かったと言うので、私達も観てみることにしました。ただし近くの映画館でやっていなかったので、iTune で購入して自宅の居間のテレビで観ました。
このミンスミート作戦の詳細は、Wikipedia にも書いてありますし、新しく制作された映画のベースになっているというベン・マッキンタイア著の「ナチを欺いた死体 - 英国の奇策・ミンスミート作戦の真実」で詳しく知ることができますので、興味のある方はそれらをお読みいただくとして。
映画の感想ですけどね、
もっといい映画にできたのに…
でした。
モンタギュー少佐をコリン・ファースが演じているんですけど、この役を演じるには60歳を超えているコリン・ファースは歳を取り過ぎなんですよ。
もう一人の中心人物チャールズ・チャムリー(Charles Cholmondeley)空軍大尉を演じているマシュー・マクファディンは年齢的にも適しているし、流石に上手いんですけど。
演出も編集もチグハグしていますし、不必要な場面も多いですし、とにかく脚本がイマイチなんですよ。コリン・ファースの家庭事情やある女性との恋愛関係をあそこまで取り上げる必要は無いんです。
この諜報作戦の成否に多くの兵士の命がかかっているというのに、そのへんの緊張感というかサスペンスが、恋愛関係の描写が無駄に多過ぎるために台無しなんですよ
コリン・ファースが出演した「ブリジット・ジョーンズ」とか「ラブ・アクチュアリー」を彷彿させる場面がたくさんあってですね、私は全くうんざりしてしました。
このミンスミート作戦そのものは非常に面白いんですよ。そしてね、この作戦のアイデアを最初に思いついたのが、英国海軍情報部のジョン・ゴドフリー部長の秘書を務めていたイアン・フレミングだったというのも興味深いじゃないですか?
イアン・フレミングは、ご存知のように007(ジェームズ・ボンド)シリーズの作者として有名です。第二次世界大戦当時は、英国情報部に務めていたのですよ。
情報部の仕事を描写しているわけですからね、007シリーズのQのモデルになった人も登場したりするんです。Mのモデルになったのは、フレミングの上司だったゴドフリー部長です。
せっかくの面白い題材なのになあ...
もったいない出来の映画でした。
ミンスミート作戦に興味がある方は、「ナチを欺いた死体」の著者であるベン・マッキンタイアが出演するドキュメンタリーの方がよっぽど面白いですよ。
映画を見た後でいろいろ読んだら、ミンスミート作戦や当時の情報部のことをもっと詳しく知ることができましたので、ますます残念になった次第でございます。
それにしても、ミンスミート作戦ってすごいんです。まさに奇策なんです。英国的ユーモアも感じられます。これが大成功したっていうんですから、映画ではもう少しナチス側が大ウソを信じ込む過程も描いてもらいたかったですよ。
どんな作戦だったのか気になるでしょ?
映画を観るよりもベン・マッキンタイア著の「ナチを欺いた死体」を読んだ方がいいかもしれません。
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