2018年9月14日

貴重な野生動物の殺害

メルボルンから東へ1時間半ほど行ったところにあるヒールズビル(Healesville)という町にヒールズビル・サンクチュアリーという野生動物保護施設及び動物園があり、ここで猛禽類(Birds of Prey)のショーがあります。観光客にも大変人気があり、このショーでウェッジテイルド・イーグル(Wedge-tailed Eagle)という鷲のことを学ぶことができます。

非常に美しい鳥です。

以前、このヒールズビルという町の外れに住んでいた頃、家が保護施設に近かったのですが、よく高い空をこの鷲が悠然と飛ぶ姿を目にしたものです。

今朝の新聞に、このウェッジテイルド・イーグルが毒殺されているのが見つかったという記事がありました。

記事によると、毒殺された鷲の死骸が見つかったのはヴィクトリア州の北東部にある農場で、180羽以上の鷲と数百の野生動物の死骸が見つかったそうです。

何故この鷲が毒殺されているのか?

近年、ウェッジテイルド・イーグルの毒殺は、動物保護機関と牧羊業者との間で問題になっているのだそうです。ウェッジテイルド・イーグルが子羊を襲うからです。

銃で射殺する人もいるそうですが、故意にウェッジテイルド・イーグルを殺すことは法律で禁じられていますから、見つかれば告発され1羽当り8000ドルの罰金(追加は1羽当り800ドル)と最高で6年の懲役刑が科せられます。

しかし、毒殺となると、ウェッジテイルド・イーグルを狙ったのか、他の動物の毒殺が目的でウェッジテイルド・イーグルの死は偶発的なのか、証明することが難しくなるわけですよ。子羊を襲う動物は他にもいるそうですからね。ディンゴとかキツネとか。

つい先日には、ウェリビー(Werribee)という町の川に違法な漁網を仕掛けていた人がいて、その魚網には大変貴重な野生動物であるカモノハシ8匹の死骸が入っていたそうです。川でカヤックを漕いでいた少女が偶然に発見しました。

この違法な漁網というのは、ヤビー(Yabby)と呼ばれるザリガニを捕まえるためのものでオペラハウスのような形をしています。これに引っかかって、毎年たくさんのカモノハシが死んでいるのです。

禁止されているのなら、何故その漁網がまだ販売されているのか、それも問題じゃないですか?

オーストラリアという国は、非常に長い期間地理的に隔離されていたことや地殻が安定していたために太古の時代から独自の進化を遂げたりして、この国固有の動物がたくさんいるのですが、何万年か前にヒトがやって来て以来、そして18世紀にヨーロッパ人がやって来て以来、数多くの動物種が絶滅しました。

世界で最も多くの動物種が絶滅した国だそうですが、持続可能ではない開発や経済利益優先の政策を続けていけば、さらに多くの種が絶滅するでしょう。

最近特に話題になっているのは、ニュー・サウス・ウェールズ州における野生コアラ絶滅の危機です。このままでは近い将来、野生のコアラはいなくなるそうですよ。

そう言えば、いつだったかニュー・サウス・ウェールズ州では、コアラの保護を巡って殺人事件も起きました。農場拡張のために不法に森林を伐採していた農場主が、そうした不法行為を監視する仕事をしていた人を殺したんですよ。

野生動物の保護には、もっと保護地域を設けるなり罰則を強化するなりの手立てが必要なんじゃないかと思います。人の善意と良識を当てにしていては、オーストラリアの野生動物はもっと死んでしまいます。


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