娘を駅まで送って行った帰りに、駅前のイーストランド(Eastland)というショッピングセンター内にあるスーパーに立ち寄った時のこと。
混雑するスーパーの前で、いきなり誰かが私の腕をつかみました。
見ると、私と同年代の中国人らしい女性。
「ナントカカントカ!」
「え?パイナップル?」(英語で)
いきなり見知らぬ他人の腕をつかんでパイナップルとささやく人間がどこにいるか!
でもね、私にはそう聞こえたんです。
その女性は、引きつったような苦笑を浮かべて首を横に振りました。
「… トイレット…」
「ああ、おトイレですか!」
分かるんです、その女性のデスパレートな気持ち。私も時々、突然おトイレに行かなくてはならない緊急事態に陥いることがあります。
私ね、自慢じゃないけど、ショッピングセンターのおトイレ事情は熟知しているんですよ。うちの娘がパニック障害で苦しんでいた頃には、このショッピングセンターだけではなく、メルボルン市内と駅や線路沿いのトイレの場所を調べ尽くして「おトイレ地図」を作っていたほどですから。
「ええっと、ここから一番近いおトイレはですね、八百屋の隣りにありますよ」(英語で)
ところが、その女性は困惑したような苦笑いの表情を浮かべたまま「あ、あ」と言うばかり。
「八百屋の隣りですよ」(英語で)
まだ苦笑いしてる!
こりゃ、私の言ったことが分かっていないな!
私は、すっかり痛い背中のことなど忘れてしまいまして、自分自身が緊急事態に陥ったとでもいうようにね、大急ぎでその女性を八百屋の方向が見渡せる場所へと誘導しました。
「あそこにフィッシュショップ(魚屋)があるでしょう? 」
「あ、あ」
「魚屋、肉屋、八百屋ね! あの八百屋の隣りがおトイレですよ!」
おトイレの場所が分かったのか、その女性は「サンキュー」も言わずに、私が指さした八百屋の方向へと小走りで行ってしまいました。
いいんですよ、デスパレートな時は「サンキュー」を言うゆとりもなくなりますから。
きっと私が中国人だと思ったんでしょうね。だから中国語でおトイレの場所を知らないかと聞いたんでしょうね。
「パイナップル」と言うはずがない!
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