昨日の水曜日、晩ご飯を食べに来るということだった夫の勤めるツールショップの友達二人。てっきり仕事を終えてそのままやって来るものと思っていたら、二人ともちゃんと着替えて、小綺麗な服装でやって来ました。
決めるのに苦労した献立は、焼き鳥(ネギ間)と枝豆入りのちらし寿司、インゲンのごま和え、ナスの甘味噌グリル、ほうれん草とマッシュルームのごまドレッシングで、どれも大変好評でした。
娘が作ったデザートがすごくて、小麦粉なしのガトーショコラ、2種類のチョコレートトリュフ、マカルーン、そして新鮮なダークチェリー。これらを芸術的に盛り付けておりまして、テーブルに持っていくと大歓声が上がりました。
食べ物の話、仕事の話、旅行の話とおしゃべりが盛り上がった頃、エジプト出身のイスラム教徒だと聞いていたRさんが初めてエジプトに旅行した時の話をしてくれて、その場にいた全員が驚愕!
よく話を聞くと、Rさんはエジプト出身ではないのです。
お父さんとお母さんがエジプトからの移民(難民だったのかも)でした。Rさん自身はメルボルンの南西にある都市ジーロング(Geelong)で生まれて育ったオーストラリア人なのです。どおりで、全く普通のオーストラリア英語を話すわけです。
オーストラリアで生まれ育ったオーストラリア人ですが、両親がエジプト出身ということもあって、初めてエジプトへ旅行したのが2002年のことだそうです。
この時、いろいろ盗まれていますが、パスポートも盗まれました。パスポート再発行の手続きにオーストラリア領事館へ行きますが、そこで受けた対応がひどすぎるのです!
オーストラリアのパスポートのコピーも運転免許証も持っていたのに、公正な対応をしてもらえなかったばかりか、テロリスト支援者と疑われたり、窓口をたらい回しにされ、エジプト当局からも筆舌に尽くしがたい理不尽な対応を受けているのです。
これはねえ、政府にきちんと抗議するべきですよ。
あまりに理不尽な仕打ちに切れたRさんが大声を上げて怒り建物を蹴ったりしたために、兵士に銃を突きつけられて羽交い締めにされ、投獄されるところでした。
一歩間違えたら、生きてオーストラリアに戻ることができなかった程の、恐怖と屈辱の連続でした。
アラブ人であるがゆえの苦労は常につきまとっています。(Rさんは、オーストラリア生まれのオーストラリア人ですが、外見はアラブ人。)
大学でエンジニアリングを学んだRさんが、不本意にも現在ツールショップで営業の仕事をしているのは、アラブ人だという理由でなかなか希望する職種で採用してもらえないからです。エンジニアの仕事には応募し続けていますが、上手く行かないそうです。
アラブ人ということで差別を受けるのは日常的で、テロリスト絡みのジョークのネタにされるのは毎日のこと。そして、その差別というのが、アジア人が受ける差別とは別次元なのですよ。
ツールショップにやって来る客の多くも、彼が「いらっしゃいませ、何をお探しですか?」と話しかけると、彼の顔を見てあっちに行ってしまうか、他のスタッフを探すのだそうです。
イスラム教徒であることとアラブ人の外見だということで、二重苦なのです。
不合理な差別と偏見に直面する日常なのです。
底抜けに明るくユーモアがあってポジティブなRさんですが、こうした話をしてくれている間に何度か真顔になりました。
ひどいなあ、不愉快だなあ、不当だ、許しがたい!
聞きながら怒りを感じました。
しかし、そう言う私だって、Rさんのことを知らなければ、彼のような外見の人を「怖い」と感じたかもしれません。好感を持たずにはいられないような、本当に明るくて楽しい人なのですけどね。
「美味しい、美味しい」と、ちらし寿司を何度もおかわりし、お皿には焼き鳥の串がどんどんたまっていくRさん。
帰る際には、ためらいなくがっしりとハグしました。
「また一緒にご飯しようね」って。
お帰りの前に1クリックを!
メニューもお味も大好評だったみたいで、良かったですね^^
返信削除たくさん食べてもらえるって、作り手にはうれしいですもんね。
Rさんのこと、日本の田舎でのほほんと暮らしている私には想像を絶するお話です。
つらいだろうな・・・。
そういうRさんをがっしりハグしたヒロコさん。かっこいいです。
話は違いますが、枝豆入りのちらし寿司、美味しそうですね。レシピ、載ってましたっけ?
差別や偏見をなくすには、市民レベルでの交流がカギだと思います。同じ民族や宗教の仲間同士でかたまっていないでね。小学校のうちから民族人種宗教を超えた友達付き合いができていると、その子供達が大人になった時には必ず社会は変わっていくと思います。
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