2026年1月26日

ガンダルフのように

うちの夫は、ショッピングセンターの通路でやっている中国人経営の散髪屋でいつも髪を切ってもらっていました。とにかく安いからです。他の買い物客から丸見えですけど、夫はそんなこと気にならないのです。

切ってくれる理容師は毎回違いますけど、仕上がりはだいたい同じです。サイドは短く刈り上げて頭頂部だけ少し長めにするという、要するにスポーツ刈りですからね、誰がやっても同じようになるんです。

ところが、誰がやっても同じになるわけじゃあなかったんですよ。

ある時、近所のショッピングスクエアの理髪店に行ったんです。金と黒を基調にしたシブい内装の、ちゃんとした理髪店です。働いている理容師さん達はアラブ系が多いんですが、そこで散髪をしてもらった夫は、

カッコよかったんです!

同じスポーツ刈りなのに、どこがどう違うと説明しにくいんですが、ちょっと違ったんですよ。余分にお金を払うだけの価値があるというもんでした。ヒゲは剃ってもらわずに、きれいに整えてもらっていました。

自分の外見や着る物に全く感心が無いようなうちの夫ですけど、この理髪店が気に入ったのか、先日も同じ理髪店に行きました。前回と同じ理容師にカットしてもらったそうです。そして、ヒゲ用オイルを買って来ました。

ヒゲ用オイルって、コンディショナーみたいなものですか?ヒゲの保湿とかツヤ出しとか?おそらくお店の人に勧められて、勧められるままに買ったんだろうと私は思っていたんです。

そうしたら、今度はヒゲ用のスタイリング剤を買って来たんですよ。「ジャック・ザ・バーバー」というブランドで、ポマードみたいなものです。こんなものを夫が買ったのは初めてでしたからびっくりしました。


パッケージデザインがすごいです!

サンダルウッド(Sandalwood)って書いてありますねえ。白檀(ビャクダン)のことですよ。白檀はいい香りですよねえ。

「ちょっと、これどうしたの?買ったの?」
「はい」
「ヒゲのスタイリングをするつもりなの?」
「そうです。もっと伸ばしてガンダルフのようにするんです!」
「え?」

カンダルフだとお!

さて、これをお読みのあなた、ガンダルフはご存知だと思いますけど、一応説明すると、トールキンの小説「指輪物語」と「ホビットの冒険」に登場する魔法使いです。映画「ロード・オブ・ザ・リング」と「ホビット」では、英国人俳優のイアン・マッケランが演じていました。

ガンダルフは知っているけど、ガンダルフのヒゲがどんなだったか思い出せないという方のために、著作権を無視して写真を掲載せさせていただきますと、下の写真が「灰色のガンダルフ」(Gandalf the Grey)だった頃のガンダルフです。


「白のガンダルフ」(Gandalf the White)になると、髪の毛もヒゲも真っ白のストレートになるんですけど、うちの夫が目指すとすれば「灰色のガンダルフ」でしょう。夫のヒゲは茶色っぽい毛も残っていますが、似たような色です。

「ガンダルフのようなヒゲにするには、1年以上かかるわよ」
「知っています」

マジか…

散髪の時にヒゲを整えてもらいながら、これから伸ばして行くんだそうです。いやあ、ちょっと、ガンダルフのヒゲは長すぎると思うけどなあ。


うちの夫は、若い頃に長いヒゲを生やしていたことがあるんです。理容師に整えてもらったりしていませんから、ただ伸びて長くなっただけのボサボサで、見るのも暑苦しかったし、何を食べてもヒゲにソースとかいろいろ付くんですよ。クッキーのかけらが入っていたこともあったわ。

どうして伸ばしたいと思ったんでしょうかねえ。毎日ヒゲを剃るのが面倒くさいからとは思えませんよ。ツルツルにする必要はないんだから、電気シェーバーを使えば簡単だと思うけどなあ。

目が悪くなって剃れなくなったということはないだろうし。

うちの夫は薄毛やハゲとは無縁の幸運な人で、髪の毛もヒゲもびっしり生えているんですけど、ガンダルフみたいな長い毛が顔に生えていると邪魔にならないんですかねえ。

ヒゲがあると顔は暑いでしょう?常にマスクを着けているようなものですからね。顔が痒くなったりはしないんですかね?ヒゲは毎日洗わないといけませんけど、シャンプーで洗うんですか?ドライヤーとかで乾かすの?

ヒゲ用のブラシかクシも必要だそうです。「私のを使うな」と言っておきましたから、自分のを買いに行くはずです。

大きなクマみたいなうちの夫が、頭はスポーツ刈りで、ガンダルフのヒゲを生やし、目の保護のためにサングラスをかけているのを想像しています。歩行補助のための杖を持っているかもしれません。

う〜ん、ヒゲが完成したら写真を皆さんにお見せしたいもんだわ。


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