オーストラリアにお住まいの皆さんでSBSを知らない人はいないとは思いますけど、知らない人のためにちょっと説明しますと、SBSというのはスペシャル・ブロードキャスティング・サービス(Special Broadcasting Service)の略で、オーストラリアの公共放送局の一つです。
オーストラリアは、英語圏以外からの移民が大勢住んでいる多文化社会です。こうした社会の特徴を背景に、多言語放送を行っているのがSBSです。海外制作のテレビ番組や映画を多く放送しています。
ちなみに、もう一つの公共放送局はABCで、オーストラリアン・ブロードキャスティング・コーポレーション(Australian Broadcasting Corporation)の略です。こちらは日本のNHKのような放送局です。
ABCもSBSも連邦政府の予算(税金)によって運営されているので、受信料を支払う必要はなく、誰でも無料で番組を視聴することが出来ます。
オンラインでもテレビ番組や映画を見ることが出来ますが、SBSオンデマンドでは最近「スタジオジブリ映画特集」をやっているんですよ。オリジナルの日本語版(英語字幕付き)と英語吹き替え版の両方が見れます。
スタジオジブリの映画は、うちの息子と娘が子供の頃にたくさん見ましたけど、今回せっかくの機会なので英語吹き替え版を見てみることにしました。
「となりのトトロ」の英語版は、違和感はありませんでした。「千と千尋の神隠し」は、千尋の声が幼稚に感じましたが悪くなかったです。
昨夜は「紅の豚」を見ることにしました。
「紅の豚」は大人の映画です。私はこの映画が大好きで、これまでに何度も見ています。いつだったかフランス語吹き替え版のポルコの声をフランス人俳優のジャン・レノさんが務めると聞いたことがあったのを思い出し、てっきり英語版でもああいう太い声の俳優さんがポルコの声を演じるんだろうと思いながら見始めました。
最初から最後までストーリーも登場人物も全部よく知っています。映画が始まり、ポルコの隠れ家の島が現れました。ポルコが砂浜で居眠りをしています。電話がかかって来て、ついにポルコが口を開きました。
そして聞こえたその声は、
えー!何なのそれ?
ポルコ・ロッソは、渋い男でなくちゃあいけないんですよ。シニカルでぶっきらぼうだけど、正義感や仲間への忠義心を持つ、頑固で強い男なんです。軍に戻ることを拒否して自分に魔法をかけて豚になったような男ですよ。
そいういうキャラクターに、オリジナル日本語版の森山周一郎さんの渋い声はぴったりでした。しかし、英語版のポルコは、平坦で特徴がなくて、やる気のない俳優が台本を読んでいるだけみたいな感じでした。
あまりにも魅力に欠けます。誰がポルコの声をやったんだろうと思って調べたら、米国人俳優マイケル・キートンじゃあないですか。マイケル・キートンは名優だけど、これはミスキャストでしょ!
同じくらいダメなのがマンマユート団のボス。このキャラクターはね、上條恒彦さんのあのパワフルな声でないとダメだわ。せめて似たような声の人にやって欲しかったけど、特徴のない声でした。マンマユートの手下達の声もイマイチでした。
カーチスの声も残念でしたよ。映画「プリンセス・ブライド」でウェスリー役を演じた英国人俳優ケイリー・エルウィスだそうですが、これもまた特徴のない声でした。
ジーナの声も弱すぎました。エレガントであっても芯のある強さが必要なのに。
英語のセリフはですね、普通の会話の部分なら悪くないんですけど、ユーモアのある部分とか、ポルコやマンマユートやカーティスが毒づいたり皮肉を言ったりする時の言葉は、英語にするとニュアンスが失われてしまうんですよ。
「てめぇ、おちょくる気か!」が「Are you messing with me?」になるともう、違うんですよ、伝わって来るものが。
「てめぇ、おめぇ、きさま、あなた、あんた、きみ、おまえ、おぬし」こういうのが全部、英語では「You」なっちゃうのが残念すぎる。
まあとにかくね、英語版「紅の豚」はひどすぎて、とても見続けることが出来ませんでした。マイケル・キートンの声は、ポルコ・ロッソじゃあないです。
この映画は子供用の映画じゃないですから、大人が見るなら日本語版を英語字幕付きで見るべきだと思いますよ。英語吹き替え版でなければ理解できない人は少ないと思いますから。日本語版で見て、声から伝わるキャラクターの特徴を感じてもらいたいです。
それにしても、スタジオジブリはマイケル・キートンでOKしたんですかねえ?ポルコ・ロッソにあの声は、ありえないと思うんだけどなあ。
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