2025年12月14日

映画「国宝」を観ました

昨日、うちの夫が映画「国宝」を観に行こうと誘ってくれました。こういう嬉しいことは、年に1回か2回あります。

実を言いますと、先日エンニオ・モリコーネという有名な作曲家の映画音楽コンサートに行きたいかと誘ってくれたんです。

一緒に暮らし始めて30年以上になりますけど、夫がコンサートに誘ってくれたことは1回しか無いので、「こりゃあ裏に何かあるな」と思ったら、友人のCさんとそのコンサートに行くことにしたから私も来たいかと聞いてくれたのでした。

映画音楽と言ってもマカロニ・ウエスタン映画だと言うので私は行かないことにしましたが、少し腹が立ったんです。私達夫婦2人だけでは滅多にどこにも行かないのに、友人と一緒にコンサートに行くと決めた後で誘ってくれても嬉しくないと教えたんです。

うちの夫はですね、他人の気持ちに鈍感と言うか、「気づいて欲しい」「察して欲しい」が通用しない人ですから、何か腹が立つようなことがあったら、その理由をいちいち説明しておかないといけません。

その時に、観たい映画が2つあることも教えたんです。先週の木曜日から公開されている「国宝」と、今月末から公開される「レンタル・ファミリー」です。

そうしたら、エンニオ・モリコーネの件で反省していたらしい夫が、仕事が休みだった昨日、「国宝」を観に行こうと誘ってくれたわけですよ。喜んで観に行きました。(私が車を運転してです。途中で夫の仕事の用事もしながらです。)

映画館はガラ空きでした。「国宝」の上映室には私達を入れて10人もいなかったでしょう。日本の大ヒット作品は、こちらではあまり注目されていないようです。上映している映画館も少ないです。

さて、この映画「国宝」ですけど、上映時間174分は長過ぎるとは感じなかったですが、途中ちょっとだれるというか、早く終われとイライラするというか、編集でカットするなり短くするなり出来たと思うシーンがいろいろありました。

原作の小説があるそうですから、実際にはもっと多くの物語があったんでしょうが、不要と思うシーンや長過ぎるシーン、あるいは演出がくどいシーンがあったのは残念でした。ビデオだったら早送りしたと思います。

そういう気になる部分はありましたけど、そんな演出や編集の問題点を帳消しにするのが俳優さん達の見事な演技です。ベテランから若手まで多くの俳優さん達が見事な演技をされていますが、何と言っても吉沢亮さんと横浜流星さんという若い俳優さん2人の演技に尽きます。

「よくこれだけ演じ切ったものだ」と私は感嘆しました。

主人公の「喜久雄」を演じた吉沢亮さんは、もちろん素晴らしかったですけどね、気持ちを揺さぶられたのは、歌舞伎役者の跡取り息子「俊介」を演じた横浜流星さんの方です。非常に複雑な感情を見事に表現しておられました。

物語の中で重要な意味を持つ「曽根崎心中」という歌舞伎の演目が2回演じられるのですが、「俊介」が客席で観ていた1回目も、ヒロインのお初を演じた2回目も、横浜流星さんは壮絶とも言える演技を見せます。

私は、その演技に圧倒され、胸がえぐらるようで、何度も涙が出ました。この方は、今年のNHK大河ドラマ「べらぼう」で主人公の蔦屋重三郎を演じておられましたね。これからの活躍が楽しみな俳優さんです。


「国宝」のエンディングは弱かったですよ。主人公がずっと探し求めていた「景色」が見えたようには感じられない、残念な映像と終わり方だったと私は思いました。

それから、主人公の老けメイクが下手過ぎました。今どきは特殊メイク技術も進化しています。もっと自然に主人公が歳を取って行くのを表現した映画は多いですよ。もう少し何とか出来たんじゃあないかと残念でした。

でもまあ、いい映画でしたよ。歌舞伎に興味がないうちの夫も、俳優達の演技は見事だったと言っていました。

この映画を見てから、私は歌舞伎に夢中になっていた頃のことを懐かしく思い出しました。高校時代から大学を卒業して就職した頃までのことです。当時、坂東玉三郎さんと片岡孝夫(現: 片岡仁左衛門)さんのお二人が「孝玉コンビ」として絶大な人気を博していましてね、私もファンだったんです。

若い頃の玉三郎さんは、女形として比べられる人がいないほどの美しさでした。長身な玉三郎さんと、玉三郎さんよりもさらに長身の片岡孝夫さんは、美男美女コンビとして大変な人気だったんですよ。

お二人が共演した「東海道四谷怪談」をNHKが放送したのを観たのは今でも覚えています。就職してから、京都の南座に歌舞伎を観に行ったこともあります。片岡孝夫さんが出演された演目があったんですが、玉三郎さんとの共演ではなかったので魅力に欠けました。

映画「国宝」がきっかけで歌舞伎を観に行きたいと思う人が増えているという話ですね。映画の中の「曽根崎心中」は本当に素晴らしかったですから、私も「曽根崎心中」を最初から最後まで通して見たいと思いましたよ。

出来れば、吉沢亮さんと横浜流星さん主演で。


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