2021年11月4日

行方不明だった女児が無事保護

クリオ・スミスちゃんは無事だった!

昨日の朝、最初に開いたニュースサイトのトップニュースのヘッドラインに「あー!」と声が出ました。

ちょっと信じられないような、ありえないことが起きたような、そんな嬉しい驚きでした。

18日前に西オーストラリア州で行方不明になっていたクリオ・スミスちゃん(4歳)が無事に保護されたというニュースですけど、ちょっと信じがたい状況でいなくなったんですよ。

クリオちゃんがお母さんとそのパートナーである義父とまだ乳児の妹と家族4人で週末のキャンプにやって来たのは、ポイント・クォッバ(Point Quobba)という所でした。

グーグルマップで見てみても、人里から遠く離れた場所だと分かります。州都のパースから車で10時間ほど北に行った所にあります。この辺りは非常に乾燥した砂漠のような地域です。

クリオちゃん家族は、そこから車で50分ほどのところにあるカナーヴォン(Carnarvon)という町に住んでいるのですよ。

クォッバ・ブロウ・ホール(Quobba Blow Holes)のキャンプ場に家族がやって来たのは、10月15日金曜日の夕方でした。クリオちゃん家族以外にもキャンプ客は100人以上いたそうです。

クリオちゃん家族のテントは、いくつかの部屋に別れたタイプで、入り口が複数あったそうです。着いたのが夕方でしたから、テントを張って晩ご飯を食べてから、その日はすぐに寝たそうです。

翌朝6時頃に目が覚めたお母さんが、クリオちゃんがいなくなっているのに気づきました。

4歳のクリオちゃんが一人で勝手にテントを出てどこかに行ったとは考えられない状況でした。テントの入り口のジッパーがクリオちゃんには手が届かない位置まで開けられていて、クリオちゃんが寝ていた寝袋も無くなっていたからです。

夜中にのどが渇いたクリオちゃんにお母さんがお水を飲ませたのが1時半頃だったそうで、それから朝の6時までの間に、何者かがこっそりテントに侵入してクリオちゃんを連れ去ったことは確実でした。夜中に車の音を聞いたキャンプ客もいました。

幼い子供が何者かに連れ去られて行方不明になる事件は珍しいことではありません。悲しい結果になるケースが多いです。犯人が見つかって子供の遺体が発見されることもありますが、連れ去られた子供が結局見つからないケースも多いです。

クリオちゃんが行方不明になって18日が過ぎ、私は「もうおそらく生きていないだろう」と思っていたんです。

西オーストラリア警察だけでなく、オーストラリア連邦警察も捜査に加わり、何百キロものルート上のあらゆる防犯カメラを調べ、ルート上のすべてのごみ箱を調べ、携帯電話の通信記録を調べ、クリオちゃん家族の家も調べ、それはストーカーの捜査ということでしたが、とにかく大規模な捜査が行われていることはニュースを読んで知っていました。

事件解決に結びつく情報提供者には100万ドルの報奨金が出るというニュースも聞きました。

キャンプ場がある場所から犯人が逃げることができた道路は限られていました。数日前には、警察が犯人は州外に出ていないと発表しましたから、何かが分かって来ていたんですよね。

非常に困難な捜し物をすることを、しばしば「干し草の山の中から1本の針を見つけるような」と表現されますが、警察の話では、一昨日「干し草の山のような大量のデータ」の中からその1本の針を見つけたのだそうです。

その1本の針から様々な情報が点を結ぶようにつながって、カナーヴォンに住む36歳の男が容疑者として浮上し、男を拘束しました。

そして、その夜、西オーストラリア時間では夜中の1時少し前、男が住む家に、鍵のかかったドアを壊して警察が入り、家の中に一人でいたクリオちゃんを保護したと言うのです。

その家は、クリオちゃんの家族が住む家からわずか7分しか離れていなかったそうなんですよ。

犯人はやっぱり地元の人間でした!

この男はクリオちゃんの家族とは何の関係もない男でしたが、クリオちゃんのことを知っていたんでしょうか。

西オーストラリア警察のドーソン警視総監は、クリオちゃんを無事に保護したという報告を受けて泣いたそうですよ。毎日多くの犯罪事件に対応している警察のトップが泣いたということからも、クリオちゃんを一日も早く見つけるために警察関係者がどれほどの努力をしていたかが分かるというものです。

最近の警察はカメラを身体に取り付けていていますから、クリオちゃんを保護した瞬間も撮影されていたそうです。

捜査員の一人が「名前は何?」と聞きましたがクレオちゃんは反応しませんでした。

別の捜査員が彼女を抱き上げました。捜査員は再び名前をたずねました。3回目にたずねた時にやっと「私の名前はクリオ」と小さな声で言ったそうです。その時の様子も撮影されていたそうで、クリオちゃんの様子や捜査員達の安堵の表情を見て、警察トップも感情がこみ上げたそうです。

どうやって犯人を見つけたのか知りたいものです。携帯電話の位置情報が犯人特定への糸口になったようですけど。


クリオちゃんが無事に保護されたと聞いて、ウィリアム・ティレルちゃんの事を考えました。ニュー・サウス・ウェールズ州で2014年に行方不明になった当時3歳のウィリアムちゃんの事件は、オーストラリアでは大変有名です。

里親のおばあさんの家の庭で5歳の姉とかくれんぼをして遊んでいたウィリアムちゃんは、大人達がちょっと目を離したわずかな間に忽然と姿を消しました。7年経ちましたが未解決です。

大変有名な事件なので、Wikipedia にも載っています。

幼い子供が事件に巻き込まれる事件は跡を絶ちませんね。ウィリアムちゃんの事件は有力容疑者が小児性愛者なのですけど、証拠がないのか誰も捕まっていません。

家の庭で遊んでいて連れ去られたり、キャンプ場のテントで寝ていて連れ去られたり、考えられないようなことが起きます。幼い子供を持つ親は本当に常に注意を怠らないようにないといけませんね。残念なことですけど。


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