昨日、娘にハグされると心が癒やされるという話を書きましたが、「ハグ」というところを正しい日本語で書きたかったのだけど、考えてみても英語で言うところの「ハグ」を表す日本語がありませんね。
それを意味する言葉がないということは、日本の文化に言葉が意味する行為が存在しないということなんでしょうね。
この場合の「HUG」という言葉は名詞です。考えてみても「抱擁」くらいしか思いつきません。でも「抱擁」と「ハグ」は違うでしょ?
どちらも抱きしめる行為ではあるけれど、「ハグ」はもっと気軽で日常的な習慣で、親密さや愛情だけじゃなく、友情とか共有する感情とかを伝える手段です。喜びや興奮でハグする場合もあるし、悲しみでハグをする場合もあるし、挨拶的にハグすることも多い。数人で抱きしめ合う「グループハグ」っていうのもあります。
私くらいの世代の日本人にとって、抱きしめ合うという行為は日常生活において一般的ではありません。私なんて、親に抱きしめられた記憶が無いどころか、手を握ってもらった記憶すらありませんよ。親だけじゃない、妹達とも、友達とも、抱きしめ合ったことなんて無い!
だからでしょうね、オーストラリアに住み始めて最初の頃は、夫の家族とか友人知人と身体を接触し合うというのに妙な抵抗がありました。しかし、ハグって基本的に気持ちがいい行為だからすぐに慣れて、今では最も好きなオーストラリアの習慣の一つです。
でもね、面白いのは、日本人の友人とはハグするのが恥ずかしいんです。相手が日本人だと、久しぶりになった時などでもハグじゃなくてお辞儀しちゃったりして。染み付いているのよねえ、日本の習慣が…。
日本でも、近年特に親が幼い子供を抱きしめる行為が大いに推奨されて、またスポーツの世界などでハグという行為が一般的になってきたのでしょう、「ハグ」(動詞は「ハグする」)が日本語になっているようですね。
いつだったかな、今は亡き祖母が入院中、お見舞いに訪れた私の夫にハグされて嬉し恥ずかしそうな顔でとびきりの笑顔を見せたことがありました。おばあちゃん、本当に嬉しそうだったな、あの時。すでに90歳を過ぎていたおばあちゃんだけど、それまでハグなんてされたことがなかったんだろうなと思います。
ギュッと抱きしめられると本当に気持ちがいいし、慰められるし、心を支えられる気持ちがするし、癒されるし、いいですよねえ。抱きしめられたついでに頬や頭にチュッとかされるともっといい気持ち。
ところがね、うちの息子のカイ、小学校5年生の時に「オレはもう5年生なんだからお母さんとハグなんかしないからな!」宣言をしましてね、それまでは毎朝学校へ行く前にハグをしていたのですけど、その後何年もハグをしないうちに大きくなってヒゲも生えてきて(ちょっと臭くなって)、すっかりハグしない人になってしまいました。
そんな息子も考えが変わったのか、いつだったか「もうハグをしてもいいです!」宣言をしたんですが、ハグの良さを思い出したか?
今朝、キッチンに行くと先に起きていた夫が紅茶を入れていました。「おはよう」と言って今日1回めのハグ。この習慣、私は好きです。
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