2025年3月10日

盗まれた物を取り返した話

ツールショップに勤めているうちの夫のお客さんの話です。

金曜日の朝、建築業を営むこの客さんが仕事に出かけようと家を出たところ、家のすぐ外に停めていたトラックが無くなっていたそうです。仕事に必要な道具は全てトラックの荷台に取り付けてある大きなスチール製のツールボックスに入っていました。もちろん頑丈な鍵をかけてありましたけど、トラックごと全部盗まれたわけです。

盗みのプロ達は特別な電子式の道具を持っているそうですから、トラックのキーなんて無くても簡単にドアを開けて、エンジンをかけて盗んで行くんだそうです。

このお客さんは、GPSで場所を追跡できるアップルのエアタグ(AirTag)をトラックの中に隠していたそうです。すぐにiPhoneのアプリで追跡すると、トラックの場所が分かりました。

直ちに警察に連絡し、警察がその場所に行ったらトラックは見つかったそうですが、ツールボックスに入っていた電動工具や機械はすべて無くなっていました。

トラックは取り返しましたけど道具が無いと仕事が出来ませんからね、お客さんはうちの夫が勤めるツールショップに来て見積もりを頼んだのですよ。これを機会に別のメーカーの道具に切り替えようということで、どの道具にするか、どれどれが必要か、うちの夫と相談しながら注文リストを作り、夫が見積もりを計算することになっていました。

お気の毒な話ですが、夫にとっては大きな売り上げになるはずでした。

ところが、土曜日に仕事が休みで家にいた夫に、このお客さんから電話がかかって来たんです。お昼頃でした。

注文リストに入れていなかった道具があったんです。電動工具に取り付けて使うソケットらしいですけど、友人から中古の道具を安く買えるマーケットがあると聞いて、お客さんは土曜日にそのマーケットに行ってみたんですって。

そうしたら、ある売り場に置かれた電動工具が盗まれた自分の物とそっくりだったので、シリアルナンバーを確認しました。

これオレのじゃん!

よく見ると、それ以外にも盗まれたのと同じ電動工具がいくつもあったそうです。シリアルナンバーを確認しましたら、

これもこれもオレのじゃん!

全部盗まれた自分の物だったんですって。

どの電動工具メーカーでも、製品保証のために購入者のユーザー登録っていうのをやりますからね、お客さんはお店に並んでいる物が自分の物であることをその場で証明出来たんだそうです。

売っていた人は盗品であることを知っていたのでしょう、全部そのお客さんに返したそうです。盗まれた物を取り返したので、注文の見積もりをキャンセルするためにお客さんはうちの夫に電話をして来たというわけです。


マーケットで盗品を売っていた人が泥棒だったのか、組織の一部だったのか、盗品と知りながら買い取っていたのかは分かりません。プロの泥棒達のシンジケートは非常に巧妙に出来ていて、警察が摘発できるかどうかも分かりません。

まあとにかく、プロやアマチュアやいろいろな泥棒達と日々闘っているツールショップのスタッフ達は、この話に大喜びしたということでございます。

このお客さんがアップルのエアタグ(AirTag)をトラックに隠しておいたのも良かったですけど、盗まれた直後にそのマーケットに行ったのが偶然の幸運でしたよね。

道具を積んだトラックは、路上やお店の駐車場からも盗まれることがあります。積んでいた道具を盗まれたというのは日常茶飯事でして、本当に油断も隙もないのですよ。

大きなトラックを入れておけるガレージが無い方もいますからね、業者の皆さんはいろいろ対策を講じているわけですが、このお客さんは幸運でした。


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