2017年10月10日

恵まれているオーストラリアの先生達

メルボルンのあるヴィクトリア州では、今日から4学期が始まりました。私の知人には学校の先生が多いのですが、親しい友人のHさんは、今年も3学期と4学期の間の休みを利用して海外旅行を楽しんできたようです。

オーストラリアでは、小学校もハイスクール(中学校&高校)も4学期制で、学年度が変わる12月から1月末にかけての夏休み以外の休みは2週間です。どの休みも、学校の教職員はお休みです。

もちろん準備や片づけに出勤する人はいますし、事務スタッフの出勤日は異なります。

私が日本の小学校に勤めていた頃は、夏休みも冬休みも春休みも、教職員は原則出勤するのがあたりまえでした。自宅勤務というのが認められていて、実際に出勤するのは当番制でやっていましたが、セミナーだの研修だのといろいろ行かされますし、実際に家でゆっくりできる日は少なかったのです。ですからね、夏休みに有給休暇を取って旅行に行くなんて、それは本当に難しかったのですよ。

最近の学校はどうなんでしょうね。

あの頃は、土曜日も昼まで学校があったんです。お休みは日曜日だけだったけど、日曜日も家に持ち帰った仕事をしたり授業の準備をしたりして、休みなんてないも同然でした。

オーストラリアでは、子供たちの通学は完全に保護者の責任ですから、多くの場合、親が車で送り迎えします。歩いて通学できる場合も、親が通学に付き添って一緒に歩くことが多いです。先生の責任は、基本的に始業ベルが鳴ってから終業ベルが鳴るまでの間だけ。

日本では、朝早くから出勤して道路脇に立ち、子供たちの通学指導だか交通指導なんかをやらなくてはなりませんでしたが、今でもやっているんですか?

仕事は、集金などの雑務も含めて、本当にたくさんありました。家庭訪問なんていうのもありました。年度初めの家庭訪問だけじゃあありませんよ。もうまるで民生委員でしたから、私。貧困家庭や不登校の子供の家庭など、訪問しない先生は怠け者という感じでしたからね、しないわけにはいかなかったのです。

とにかく、仕事の量が勤務時間内にやり終われる量じゃあなかったですから、毎日帰宅は遅かったです。それだけ長時間働いても毎日仕事を家に持ち帰るんですからね。

勤めていたのが各学年一人ずつの先生しかいない小さな学校だったので、病気になっても休めなかったですよ。私は風疹にかかって入院したことがあるんですが、高熱が出たりしてどうしても休むしかなかった時は、教頭先生が子守りをしてくださいました。他に誰もスタッフがいなかったですから。

オーストラリアでは、学校の先生だって病気や何かの都合で休むのがあたりまえという前提で体制が整えられています。先生が休む場合に急な依頼でもやって来てくれる代替教員(Substitute Teachers)が登録されていますので、そうした代わりの先生を学校が手配するのです。

日本で教師をしていた頃は、プール当番だとか、ウサギ小屋当番だとか、市内ソフトボール大会だの水泳大会だの音楽会だの様々なイベントのための特別指導だとか、廃品回収などのPTA活動とか、しなくちゃいけないことが本当にたくさんありすぎてクタクタでした。

最近は、どうなんでしょうか?

先日、日本の中央教育審議会が「学校における働き方改革に係る緊急提言」を出したと聞きました。「学校にタイムカード導入を」ですって? タイムカードを導入したら学校の先生の長時間労働の問題が解決するとでも思っているんでしょうか。

オーストラリアの先生は、休める体制が整っているから休むんです。

そして、私が一番羨ましいと思うのは、長期勤続休暇(Long-service Leave)というもの。決められた期間勤続し続けると、長期有給休暇がもらえるのです。これを利用して1学期間とか2学期間とか長期に休み、海外旅行や家族旅行を楽しむ先生達。もちろん、担任の先生が長期有給休暇を取れば、その間、担任は代替教員に代わりますけど、オーストラリアの先生達は、これを「生徒に申し訳ない」なんて考えたりしません。

これほど恵まれているのに、まだ学校運営や教育省の方針などに不満があって、時々ストライキをする先生達。そういう時は、学校はお休みになったりします。

カリキュラムデー(Curriculum Day)とか成績通知表を書く日(Report Writing Day)などといった、生徒だけがお休みの日というのもあります。年度の最初の日は、先生達は教職員会議や教室の準備や授業の準備など、いろいろすることがありますから、生徒はお休みです。

日本だったら、そういうのは学期が始まる前に(休み中に)するのですけど、オーストラリアの先生達は、学校が休みの間は出勤しませんからね。

本当に恵まれているんですよ。

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