2017年9月30日

摂食障害は症状

先日、「菜食主義と摂食障害」の記事へコメントをくださった方がありました。

摂食障害になったご友人が、現在は菜食主義のような食生活をされていることを心配されていらっしゃる方からのコメントでした。

そこで、うちの娘のこれまでのことを少し書いてみようかと思います。娘は現在大学で心理学を勉強中で、自分のことを私がブログに書くことが誰かの役に立つならと書いても良いと認めてくれていますので。

私は、自分の経験からも、摂食障害は問題の症状の一つだと考えています。

摂食障害には、拒食症(極端な食事制限)と過食症(過度な量の食事の摂取)があることはご存知のとおりです。どちらにも「極端なやせ願望」や「肥満恐怖」というものが共通し、同じ疾患の異なる症状だと言われています。いずれも、人間関係の問題などから生じる心理的なストレスが原因となる場合が多いとのことです。

明るくて元気いっぱいだったうちの娘が、病気になったのは何が原因だったのか。

それは、私達親のせいだったと言わなければなりません。特に、母親である私のせいなのです。

子供たちが幼い頃から、夫が仕事の関係で長期不在な暮らしだったため、私達家族はまるで母子家庭のようでした。私自身も精神的に不安定だったうえ、近くに心を打ち明けられる人がいなかったので、幼い娘を精神的に頼りにして、私はよく娘にグチをこぼしていました。

その後、夫の事業が失敗して破産し、経済的に困窮しました。私たち夫婦の両方がうつ病を患い、夫婦関係が悪化し、娘の心に大きな傷をもたらす出来事が続きました。

その間、娘が私の苦しみや怒りをスポンジのように吸い取っていることに、私は気づいていなかったのです。

娘がまだ小学生だったある日、掃除をしていてカーペットに異常にたくさんの髪の毛が落ちているのを見つけました。ちょうどその頃、娘の髪の毛が少なくなっているのに気づいていましたから、私はすぐに抜毛症のことを考えました。

抜毛症というのは、髪の毛を抜いてしまう病気です。何らかの心理的ストレスが強くなってくることで発症します。髪の毛を抜く行為自体は強迫的です。通常、何とも言えない不安がこみ上げてきた時、その不安に対処するように髪の毛を抜いてしまうのです。髪の毛を抜くと気持ちがすっきりするなど一時的に気持ちが楽になり、止められなくなります。

抜毛症は、医師や心理カウンセラーによる治療で良くなりましたが、その後、ティーンエイジになると、不安障害や強迫性障害の様々な症状が現れるようになり、拒食や常軌を逸した運動が始まりました。いずれも非常に強迫的でした。

体重の低下はもちろんですが、月経も止まり、体力が無くなり、通学が困難になりました。

自傷行為もひどくなりました。

全て「不安」という背景を共有しており、それぞれ密接な関連があるわけで、娘のように様々な症状を合併することは良くあることです。

娘は、回復と悪化あるいは回復と別の症状の発症を繰り返しつつも、医師と心理カウンセラー、摂食障害の頃は栄養指導カウンセラーも含めた治療者のおかげで次第に良くなって来ました。

回復の過程で、問題となっている「不安」という根本問題に、家族で向き合う必要がありました。最も重要だと感じたのは、すべてのことをオープンに話し合える関係を維持することです。

たとえ、自分を傷つけている娘を前にしても、感情的にならず、冷静に論理的に対処するように努めました。自傷行為を無理に止めようとはせず、せずにはいられない気持ちを理解し、傷を悪化させないようにするための処置の方法を勧めたりしていました。娘が隠し持っている刃物を取り上げたりもしませんでした。

もちろん、娘の気持ちを理解しようと努めると同時に、娘を失うことを心配する私自身の気持ちも伝えましたけど。

拒食や自傷、社交恐怖、パニック発作など、あらゆる症状に向き合う時、背景にある娘の「不安」というものを常に考えていました。

私達家族は、家族全員が何らかの精神的な問題を抱えています。家族全員が「不安」の問題を抱えていると言った方が良いかもしれません。ですから、お互いを理解したり共感したりしやすいということはあると思います。

現在、私達は普通に生活できていますが、病気が治ったと言うよりも「病気をコントロールしながら何とかやっている」と言った方が良いでしょう。

娘も毎日3食しっかり食べています。しっかり食べていますが、肉も魚も特別な場合を除いては食べません。ただし、本人がしっかり栄養について勉強し、お母さんも栄養については口うるさいので、タンパク質(必須アミノ酸)や鉄分などが不足しないように、食べる食品には自分で注意しています。ですから、私も娘の栄養不足を心配していません。

肉や魚の料理を晩ご飯に出すと、自分で卵や豆腐を食べるので、2種類のおかず作りに苦労することももうありません。娘の菜食のせいで、週に何日か「肉魚なしの日」というのをするようになりましたので、家族の健康に役立っているくらいです。(男達には不評ですけど。)

家族や友達が摂食障害になったら心配ですよね。

原因も症状も人ぞれぞれで、こうすれば治るというものもありませんが、「理解してくれる家族や友人との何でも話せる関係」が回復の大きな一助になることは確かです。

そして、こうした心の病気にも、身体の病気と同じように薬が非常に有効だということは言えます。「薬に頼ること」「薬を飲み続けること」は、悪いことではありませんし、後ろめたい気持ちになる必要も全くありませんよ。

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