先住民の虐殺や悪名高い白豪主義の歴史を持つオーストラリアは、現在でも「人種差別大国」として有名です。
実際に20年以上もこの国に住んでいる者として実感を申し上げれば、人種差別に限らず、差別意識の強さと教育のレベルは強い関係があるように思いますが、人々が育った家庭環境や地域環境も大きく影響していると感じます。(アタリマエか…。)
メルボルンという大都市周辺の地域は、人種や宗教、性のアイデンティティや性的指向など、様々な面で多様性のある社会ですから、そうした多様性を受け入れる意識が育ちやすいと思うんですよ。そうした多様性を受け入れ、活かすことの価値を学んで育てば、子供達が差別主義者になってしまうことはないはずなんです。
しかし、多様性を批判し、気に入らない者達を排斥し、有色人種を見下す、差別主義者は大勢います。そして、彼らの子供達が同じように差別主義者に育つ場合が多いようですし、多様性の乏しい地域(内陸部の田舎の方)では差別意識も強いと感じます。
最近、某国の影響か、こうした差別意識を公言することをためらわない人々、差別発言も言論の自由の一部だと考える人々が増加していますけど、オーストラリアでも差別発言を耳にしない日はないという状況です。
イスラム教の移民や難民の受け入れに関しては、非常にがっかりさせられるというか腹立たしい発言をよく耳にしていましたが、最近よく耳にするのは、LGBTの皆さんに対する差別発言なのです。
現在、オーストラリアでは、同性婚合法化の是非を問う「郵便調査」が行われておりまして、一部の政治家やセレブだけではなく、企業の多くが同性婚合法化に賛成する意志を表明しています。より平等な社会の実現へ向けて、企業がイニシアチブを取るのは良いことだと私は考えますが、AFL(オーストラリアン・フットボール・リーグ)が同性婚合法化に賛成する意志を表明してから、醜いことになって来たんです。
フットボールファンには、差別者が多いんですね!
トークバック・ラジオを聞いていて思うんですけど。
この度の「郵便調査」は、同性のカップルも結婚できるように法律を変えるべきかどうかという話であるのに、彼らの議論は、同性愛とキリスト教の教えの問題、同性カップルの非正常さ(異常とは言わない)、同性カップルの子供たちが受けるであろう差別と偏見問題(お前らのせいだろう)、教会や教会運営の学校が信仰の自由を失うという心配、子供たちが学校で同性愛について学ぶようになるぞという懸念の助長、フットボールの団体が政治活動をするべきじゃないとか、フットボールの団体に属す人全員が同性婚合法化に賛成しているわけじゃないのに団体として賛成を表明する権利はないとか、ナントカカントカ …。
なんて住みにくい国なんだろうね、この国は!
特に、同性愛を否定する宗教的な考えの強いコミュニティーや家庭に生きるLGBTの皆さん、差別意識の強い(人種差別も性差別も)スポーツ界に生きるLGBTの皆さん、どんなに大変でしょうねえ。
こんなんじゃあ、隠して生きるしかないと悩み苦しむ人がまだまだ多いというのも頷けます。つらいでしょうね。本当に心から同情しますよ。
なんとか、社会を変えていかないといけません!
そのための一つのステップです、この「郵便調査」は。
「郵便調査」についての世論調査で、賛成派が減ってきたというニュースがあったので心配です。どうか賛成多数になって欲しいと、祈るような気持ちでいます。
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