2011年12月28日

子犬のバディ

久しぶりに岡山の友人からメールが届いた。

今月から週4日働き始めたのと家族が増えたのとで、バタバタしていると書いてあった。

「家族が増えた?どういうこと?」と思ったら、メールの下に携帯で撮影したと思われる写真が添付してあった。


すぐに娘のサチを呼んだ。
「サチ!ちょっとおいで!直輝んちに家族が増えたんだって!」

早く見せたくてたまらないのに、キッチンでトーストをほおばっていたサチはなかなか来ない。
「早くおいで!可愛いよ!」

やっとサチがやって来た。

「きゃー、可愛いい!可愛いすぎる!」
「でしょう?可愛いよねえ!」
「いいなあ、可愛いなあ!いいなあ、いいなあ…」
「名前はなんていうんだろう…」

私はサチと二人で、このワンちゃんの写真を眺め続けたのだった。

引っ越し生活が続いた私達家族は、ずっと借家住まいなので、犬を飼いたくても飼うことができなかった。

でもね、半日だけ飼ったことがあるのですよ。

ちょうど今から1年前、まだ家族が寝静まっていた早朝のこと。中二階のキッチン外のウッドデッキ辺りで物音がするので様子を見に行ったら、まだ赤ちゃんのような小さな子犬がいたのです。くしゃくしゃの毛玉のような子犬だった。

どこから来たのか、きっと近所の家から逃げて来たのだろう、きっと飼い主は今頃心配しているに違いない、近所なら子犬を探して我が家の前も通るだろうと思い、子犬の写真を撮ってポスターを作り、家の前の郵便受けに貼った。夫は、近所の電柱にもポスターを貼って回ってくれた。

ところが、子犬の飼い主はなかなか現れなかった。私とサチはスーパーに行く用事があったので、子犬のことを夫に頼んで、急いでスーパーへ買い物に行った。子犬用のドッグフードもついでに買った。

大急ぎで家に戻ると、くしゃくしゃの毛玉のような子犬はまだ家にいた。子犬は、私達にすっかりなつき、抱っこすると顔をペロペロなめ、ボールで遊んだり、おしっこやウンチをもらしたり、水を入れた皿をひっくり返したり、とにかくもうどうしようもなく可愛いらしいのだった。

「おい」とか「ヘイ」とか「ドギー」とか呼んでいた私達は、名前がないのは不便だと思い「バディ」という名前をつけた。「仲間」とか「友達」という意味だ。

「このまま、飼い主が現れなかったらどうする?」
「マイクロチップとか埋め込んであるんじゃない?」
「こんなに小さい赤ちゃんだけど…、どこに埋め込むんだろうねえ。」
「まあ、飼い主が現れなかったら、私達が飼ってあげるしかないんじゃない?」

などと家族で話していた午後、ドアのベルが鳴った。

「ポスターを見たんですけど…」

まだ若そうなカップルだった。

「ワンちゃんですね?ええ、ええ、こちらでお預かりしていますよ。どうぞお入りください。」

二人を居間に通すと、バディはソファに寝転んで映画を見ていた夫の横に寝そべってくつろいでいた。女性は、バディを「ペッパー」と呼び、抱き上げて涙を流した。飼い始めてまだ1週間しかたっていない生後3ヶ月の子犬だとのことだった。

二人は私達に心からお礼を繰り返し述べ、バディを抱いて帰っていった。

たったの半日一緒にいただけなのに、バディがいなくなって私達は胸がキュンと痛かった。

「はあ……。」
今思い出しても、ちょっと涙が出る。


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2 件のコメント:

  1. この子犬は生後2か月の雑種で名前はダイスケです。保健所から我が家に来ました。お笑いタレントの宮川大輔さんに雰囲気が似てるのでダイスケと命名しました。毎日元気いっぱい走りまわって、かわいいよ。

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  2. お笑いの宮川大輔?全然似てないでしょう、ダイスケは可愛すぎ!ああ、でもね、以前ある人から聞いた話だけど、宮川大輔さんは人間的には実に素晴らしい人であるらしい。顔はとにかく、心は美しい人であるらしいから、宮川大輔似のダイスケでグッドな命名だと思います。

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