2011年10月11日

ゴキブリを食べた弟

これは、私の義弟リッキーの話である。

コンピューターのファイルを整理していたら、昨年のクリスマスに、私の娘のサチがリッキーへのプレゼントに作ったTシャツのデザインがあった。まず、そのデザインをご覧ください。


I know what they taste like… (オレは、こいつらがどんな味か知っている) のは、なぜか?何かの味を知るためには、それを食べてみるというより他の方法はあるまい。リッキーは、この黒々と光るゴキブリを食べたことがあるのだ。むろん生ではない。から揚げのゴキブリ。食べた場所、それは中国のどこかだ。

リッキーは、昨年、人気リアリティーTVシリーズ「アメージングレース」の中国版であるThe Amazing Race : China Rushに出場した。このレースで、出場チームには様々なタスクが課せされる。



タスクには、ゲテモノ(失礼!)食いというのもあったのだ。レースに勝つためには、出されたものは食べなくてはならない。リッキーがゴキブリを食べたのは、レースに勝つためだった。リッキーのチームは、惜しくも(本当にわずかの差で)2位となった。ゴキブリの味は、悪くなかったそうだ。

私が初めてリッキーに出会った時、彼はまだ小学校の3年生だった。しょっちゅう口唇ヘルペスが出て唇が腫れ上がっていた、そんなイメージがある。私は、リッキーが通う小学校で教えていたので、彼は私の生徒の一人でもあった。

私は、リッキーの歳の離れた兄と結婚したので、彼は私の弟になった。ある日、リッキーが家の木の上に板をクギで打ち付けて作ったプラットフォームに、私を上がらせてくれた。二人で木の上に座って遠くの景色を眺めた。どんな話をしたかなど覚えていないが、木の上から二人で眺めた景色だけは鮮明に思い出すことができる。

リッキーが5年生の時、学校で具合が悪くなり、私は昼休みを利用して彼を家に連れて帰った。風邪をひいたのだろう、熱をはかると少し熱があった。家族が帰ってくるまで、しばらく一人で寝させておくしかなかった。
「お母さんがすぐに帰ってくるからね。それまで、一人で大丈夫?」
「だいじょうぶだよ。」
私は、コップに水を入れてベッドの横に置いてやった。その時見たのだ、リッキーがおもちゃのナイフを枕の下に隠しているのを。
(やっぱり一人で家にいるのは心細いんだな)と思った。
授業があったから、私は学校に戻らなければならなかった。運転しながら、今頃、リッキーは不審者の侵入に備えて、おもちゃのナイフやピストルで武装しているんだろうと思うと、心配が半分、可笑しいのが半分。

マッシュルームとズッキーニが大嫌いな可愛い子だった。

そんなリッキーは、大きくなってリックと呼ばれるようになっても、私にはリッキーちゃんなのだが、いつの間にかすっかり大人の男になった。世界中を旅して歩き、仕事でも世界の様々なところを旅して、現在は上海に住んでいる。今日は、アメージングレースのことを調べようとネット検索していて偶然彼のウェブサイトを見つけた。なかなか良いので紹介したい。



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