日本でも「サマータイム」の導入が議論され、一部自治体では実験的な導入の試みがなされていると聞くが、国としての準備や理解無くしての導入は混乱を招くし、難しいであろうと思う。特に日本のように国全体が一つのタイムゾーンに属し、国内において時差というものが無い国においては、時間の差という観念そのものが薄い。
オーストラリア本土には、通常は3つのタイムゾーンがあり、夏時間が始まるとこれが5つに分かれる。緯度が比較的高いニューサウスウェールズ州、首都特別地域のキャンベラ、ヴィクトリア州、タスマニア州、南オーストラリア州が夏時間の制度を採用しているが、緯度の低いクイーンズランド州やノーザンテリトリー(北部特別地域)、また東西南北に広い西オーストラリア州は、この制度を採用していない。本土だけで5つのタイムゾーン、本土から離れた島々ではさらに異なるタイムゾーンがあるのだから、さぞや混乱するだろうと思われるかもしれないが、時差というものを常に意識した暮らしの中では、個人の生活上もビジネス上でも混乱というものは無い。
まず、コンピューターだが、オペレーションシステムには世界の夏時間がプログラムされているので、地域の設定をしておけば、夏時間の開始時と終了時には自動的に時間が変更される。これは、最初に知った時には少し感動した。他の地域の時間も自動的に調整される。だから、特に時間の変更を意識することすらないのが事実だ。私の住むメルボルンは、ヴィクトリア州のタイムゾーンに属する。シドニーのあるニューサウスウェールズ州とタスマニア州も同じタイムゾーンである。
夏時間はどのようにスタートするか紹介しよう。(何も難しいこともおもしろいことも無いのだが。)
地元のコミュニティ新聞に掲載されていた広告 |
夏時間は、通常日照時間が長くなってくる10月の第一日曜日の早朝(夜中)の2時にスタートする。つまり、夜中の2時が3時ということになる、とそれだけのことである。といっても、誰も夜中に起きて時計の調整などはしない。土曜日の夜、寝る前に時計の針を1時間進めて寝る。それだけだ。あるいは、日曜日の朝起きてから時計の針を1時間進める、という人もいるであろう。朝起きてテレビをつけてみると、ちゃんと1時間進んだ時間で放送している。日曜日に始まるので、その日一日夏時間の生活に慣れるための時間があり、月曜日の朝の出勤や登校に支障が出るということもないのだ。夏の日照時間が最も長い頃には、夜の9時を過ぎてもまだ明るいので、確かに余暇時間を楽しむには最高だ。仕事を終えた後に、アウトドアでスポーツに汗を流す人も多いし、ショッピングを楽しむ人も多い。私は、子供たちが小さい頃には、まだお日さまが出ている8時過ぎに子供たちを寝かしつけるのに苦労したりしたが…。
夏時間が終了するのは、通常4月の第一日曜日である。スタートとは逆に、日曜日の早朝(夜中)の3時が2時となる。だから、土曜日の夜、寝る前に時計の針を1時間戻して寝る。この頃には日照時間もすっかり短くなって、私が起床する6時頃はまだ真っ暗で、早く夏時間が終わってほしいと懇願する気持ちが強くなっているので、夏時間で6時だったのが5時という通常の時間に戻り、6時(夏時間の7時)までもう1時間寝ていられると思うとうれしいものだ。
夏時間がスタートした10月2日の朝 |
日本で 「サマータイム」を 全国的に採用するというのは、確かに難しいだろうと思う。なにしろ、日本は南北に細長く緯度の差が大変に大きいので、緯度の低い地域では、特に夏場に日照時間が著しく長くなるということはないし、東西にも長いために、 東の端と西の端では普段でも日の出日の入りの時間に大きな違いがある。このような国で、一律に夏時間導入というのは無理があるだろう。
メルボルンよりももっと緯度の高いヨーロッパやカナダなどの夏は、どんな風なんだろうととても興味がある。特に、日が沈まない白夜というのは、ぜひ一度経験してみたいものだ。その逆の、一日中お日さまが顔を出さないというのも。地球は広い。私は、こういう違いが面白いと感じるのです。
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