2011年10月12日

キャロットケーキ

もう何年も前のこと、まだ幼かった子供達を連れて日本に里帰りした帰りのことだった。幼い子供を連れての旅行はハードワークである。私の実家は岡山県の田舎にあるので、成田空港まで行くだけでも大仕事なのだ。JRを乗り換えてやっと成田に着いた頃には、すでにクタクタであった。

まだ幼かった子供達(シドニー空港)

飛行機の中でもお母さんは休めない。狭い機内で、疲れた幼い娘はぐずぐず言うし、息子は鼻血を出すし。しょっちゅうトイレに行きたがるし。
「お父さんに連れて行ってもらってよ!」
「だめぇ、お・か・あ・さ・ん!」
なんでお母さんじゃないとだめなのか…。とにかく何度もトイレに通った。

退屈しないようにゲームをしたり絵を描いたり、自分が休む暇などほとんどない。第一、私は飛行機の狭い座席に座った状態で眠れる人ではないので、シドニーについた頃には、もうクッタクタに疲れていた。ちゃっかり空席を確保して体を横にしていびきをかいていた夫は元気そうだったが、私はといえば、目の下にクマ、化粧などすっかりはがれ落ち、明るい照明の下へ出て行くのがはばかられる状態。(あとちょっとだ!辛抱、辛抱!と自分を励ます。)

さて、国際線はシドニーまで。入国審査が待っている。そして、シドニー空港最悪の厄介、ターミナルの移動である。国際線ターミナルからバスで国内線ターミナルへ移動。 そして、国内線チェックイン、やっとゲートにたどり着く。メルボルン行きのカンタス機に乗った時には、本当に疲れ果てていた。


その機内で、モーニングティーとして出されたのが、キャロットケーキだった。それまでキャロットケーキを見たことはあっても食べたことはなかった。食べたいと思ったことがなかったのだ。ニンジンの姿がモロに残っており、クルミと干しぶどうが入っているのが見える。私は子供の頃からクルミが嫌いだった。それにシナモン系のスパイスも苦手だった。

私は、本当に疲れていたし、空腹だった。そこで、一口食べてみることにした。ひんやりと冷たいケーキだった。しっとりとして、ニンジンの味など分からないが程よく甘く、フルーティーで、シナモンの風味が心も体もほっとさせる味だった。クランチーなクルミが食感と味の両方に置いて絶妙のコンビネーションで、干しぶどうの味も良いアクセントであった。

そして、キャロットケーキにはまってしまったのです、この時から。

いろんなカフェでキャロットケーキを食べたが、あの日シドニー発メルボルン行きのカンタス機で食べたキャロットケーキに匹敵するケーキは無かった。自分でも様々なレシピを試みてみたが、「これだ!」というレシピには、なかなか巡り会えなかった。

ところが、ついに手に入れました!というか完成しました!というか。あの日、カンタス機で食べたのとそっくりな味に仕上がるレシピ。インターネット上で見つけたいくつかのレシピを試行錯誤した結果であります。あんまり美味しいので、ニンジンが入っていると聞いて食べるのを躊躇していた野菜嫌いの息子にも大好評。食べた人がみんな褒めてくれるこのレシピ。どうぞ作ってみてください。




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