今年はちょっと遅かった。8月から始まることもあるのに。9月に二日ほど症状が出た日があったけれど薬が必要なほどでもなかった。
しかし、やっぱり今年もやって来た。ちょっと遅めの花粉症シーズン!
オーストラリアに住み始めて3年目か4年目のこと。それは、ある日突然始まった。住んでいたのはヒールズビルという町のはずれで、牧草地に囲まれたのどかで美しいところだった。
激しい目のかゆみとしたたる鼻水と止まらないくしゃみ。
「なっ、何だろう?花粉症か?まさかっ…」
耐え難いあまりのかゆさに目をこすりすぎて、まぶたは無惨に腫れ上がり、目の粘膜がジェリーのように膨らんだ。
「どうしよう、医者に行くべきか?」
ティッシュの箱は、見る見るうちに空になってゆく。
「それって、ヘイフィーバーじゃない?」と夫が言った。
ヘイフィーバー Hay Fever とは、直訳すると枯草熱と言い、要するに花粉症のことだ。日本における花粉症の最大の原因となっているのは杉花粉だが、ヘイ hay 、つまり干し草(牧草)の花粉が原因で生じる花粉症である。牧草というのはおおむねイネ科の植物で、ヘイフィーバーの最も一般的な原因となっている植物は、どこの家にもある「芝」なのだそうだ。
春になると芝が急激に伸び始めるので、定期的な芝刈りはどの家でも必要不可欠。牧場の草も、1シーズン2回くらい刈って俵にする。春は、イネ科植物の花粉が舞い散る季節なのだ。
私の花粉症は、発症以来年々ひどくなる一方である。抗ヒスタミン剤を飲んでも外出さえかなわないような日もある。
アレルゲンを特定する皮膚テストもやってみた。針で小さく傷をつけたところにアレルゲンをたらして反応を調べるプリックテストだが、「草」のところが赤くなるどころか、そこから広がった赤みが腕の大半を覆うほどで、私のアレルギー反応の強さは医者をも驚かせた。注射によるアレルゲン免疫療法も試みたが、アレルギー反応が強すぎて治療期間途中で断念するしかなかった。
日本から取り寄せた花粉症用マスクは、メルボルンでは使いにくい。人々からジロジロ見られるのは気にならないのだが、この季節は(特に症状が出る日というのは)往々にして気温が高い。マスクに覆われた部分は汗をかき、暑くて耐えられない。
症状がひどい日は、抗ヒスタミン剤を飲んで家の中で過ごす。家から出る必要があって、たちまちくしゃみや目のかゆみが始まったら、すぐシャワーを浴びる。この季節、洗濯物は外に干さない。気温が上がってきて窓を開けたくなったら、エアコンをつける。
花粉症との付き合いも長くなってきたから、対処法も分かっている。しかし、本当にうっとうしい面倒なことだ。
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