2024年12月15日

ロシア式バーベキュー

うちの夫が勤めるツールショップで最近働き始めたロシア人のスタッフにロシア式バーベキューに招待されたので、昨日お邪魔して来ました。

うちの夫の話は詳細がよく間違っていることがあるんですけど、そのスタッフの方は母語がロシア語のリトアニア人だと夫は言いましたが、タジキスタン生まれのロシア人でした。ヴラジミールさんとおっしゃいます。

奥さんはキルギスタン人だと夫は言いましたが、奥さんもタジキスタン生まれのロシア人で、お二人はタジキスタンからリトアニアじゃあなくてラトビアに移り住んだのでした。奥さんはリュドミラさんとおっしゃいます。

リトアニアもラトビアもバルト三国の国ですが、ラトビアは三国のうちの真ん中の国です。

どういう経緯でタジキスタンからラトビアに引っ越したのかは知りませんけど、このお二人はロシアに住んだことがないロシア人なんです。ロシア人と聞いて想像した通りの外見のお二人でした。

ヴラジミールさんは、ボリス・エリツィンに似ていましたよ。お二人とも、おそらく私と同じくらいの歳だと思います。

奥さんは英語がそれほどお上手ではなくて、旦那さんの方はものすごいロシア訛りの英語をしゃべりますから、私は聞き取るのに苦労しました。

娘さんを連れてオーストラリアに移民されたのは1996年だそうです。うちの息子が生まれた年です。大変な苦労をして移民されました。

タジキスタンに住んでいた頃には差別など経験したことがなかったそうですが、ラトビアではロシア人に対する嫌悪と差別がひどかったそうです。1990年にソビエト連邦が崩壊してラトビアが独立を回復した後は状況が悪化して、仕事とより良い暮らしを求めてオーストラリアに移民することを決意したそうです。

移民のためのビザ取得のために弁護士に法外な費用を支払ったものの、度々だまされてお金を失ったそうですが、あきらめず何とかビザを取得しようと荷馬車のように働いてお金を稼いだそうですよ。

やっとビザを取得することが出来てメルボルンに来ましたが、到着直後の数日間はホテルに滞在するはずで宿泊費用も支払い済みだったのに、来てみたら費用は払ってなかったそうです。ホテルを手配した業者にお金を盗まれていたのです。しかも、ホテルともホステルとも呼べないような狭い部屋一つだけだったそうです。

万事がこの調子で、本当に苦労をされているんです。何とか見つけた仕事は、移民を低給で雇うことを目的にしている仕事ばかりでしたが、ヴィクトリアマーケットの店番から工事現場の重労働からタクシーの運転手まで、できる仕事は何でもやったそうですよ。

こうして苦労した経験から、資本主義社会の不平等や腐敗したシステムのことを怒りを込めて話していました。

ロシア人のお二人にとっては、医療も住宅も保育も学校教育も無料で、貧富の差を目に見える形で感じることが無かったというソビエト時代は良い時代だったそうです。「あの頃は良かった」と懐かしそうに語っておられました。そう感じているロシア人は多いのだそうです。

ソビエト連邦が崩壊し、資本主義に変化した後のラトビアでは苦労が多く、オーストラリアに来てからも、しばらくはさらに大きな苦労をすることになったわけですけど、今はお幸せそうです。

奥さんは健康問題があって苦労されています。特に歯の問題がおありなんですが、高額な費用がかかるために治療が受けられないのです。

オーストラリアでは歯科医療は公的な健康保険制度メディケアでカバーされませんからね、高額な治療費は全部自己負担になるんですよ。経済的に余裕がないと歯の治療など受けられないのです。

だから余計に、医療が全て無料だったソビエト時代を懐かしく思うんでしょう。


ロシア式バーベキューというのは、一晩タレに漬け込んだ肉を金属製の太い串にさして、それを炭火で焼くという最高に美味しいものでした。これに2種類のサラダと、トマトの上にチーズみたいなのが乗ったのと、赤パプリカを焼いたのとかピクルスとかが出ました。


お肉は鶏肉と豚肉の2種類がありましたが、どちらも大変美味しくて、食べ過ぎちゃったなあと思っていた所にオーブンから取り出されたのは、奥さん手作りのポークソーセージ。

下の写真は、私達がそれぞれ一つずつ取った後に撮りました。


ひき肉は使用せず、かたまり肉を小さく切ったのを塩と胡椒だけで味付けて豚の腸に詰めたものだそうです。これにマスタードをつけて食べたんですけど、脂がジュワッと口の中に広がって、「うわあこれは身体に悪いぞ」と思いながらも、美味し過ぎて食べるのをやめられないソーセージでした。

下の写真は自家製のドリンクです。様々なドライフルーツやベリー類を煮込んだ汁を水で薄めた飲み物だそうです。甘いですが砂糖もハチミツも甘味料は入っていません。自然の果物だけで作ったものです。


ロシア式バーベキューランチは最高でしたよ。

今度は我が家に日本食を食べに来てくださいと言ったら、二人ともちょっと変な顔をしました。生まれて今まで、一度も日本食を食べたことがないそうです。どうやら日本食にあまり良くない先入観を持っているようです。

日本酒には興味がある様子でしたけど、ウォッカとかジンといった強いお酒がお好きなお二人ですから、日本酒は物足りないかもしれませんね。

帰り際に、私へのプレゼントだと言って本革製のハンドバッグを下さいました。びっくりしました。「なんでこんな物を私に?とても受け取れません!」と遠慮したんですが、最後にはありがたく頂いて帰りました。

黒色で私の好きなデザインでしたから正直言うと嬉しかったんですけど、ロシアではこういう贈り物をする習慣があるんですかねえ。私が手土産に持参した手作りのチョコレートのお菓子はとても気に入ってくださいましたけど、差し上げたものと頂いたものの釣り合いが全く取れません。

「スパシーバ」(ありがとう)というロシア語は知っていましたから、帰り際はもう「スパシーバ」の連発でしたよ。

出してくださったお料理から想像すると、相当な時間をかけて準備されたと思います。ありがたいです。本当に「スパシーバ」です。


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