せっかく仕事が休みで回復するチャンスだった火曜日に、しっかり寝ないで電動工具メーカーのオンライントレーニングをやっていたのを知った娘があきれて「お父さん、ちゃんと寝なくちゃあダメよ」と言ったんです。
娘が言うことは素直に聞くのですよ。
おかげで今朝はかなり回復していました。やっぱりね、具合が悪い時は栄養を摂って暖かくしてしっかり寝ることが大事です。
さて、
今日の話題は夫の風邪ではなくて、ニュースの話。
昨日、私が最近気になっていた事件に関するニュースがあったんです。
事件になるようなことではなかったのに、事件にしてしまったのは一人の警察官です。
この警察官は、汚職警察官でもないし、基本的に悪人ではない凡人警察官なんですけど、信用できないと断言できます。
事件の少ない田舎町の警察官で、おそらく危機対応能力も低かったと思います。こういう人は警察の仕事をするべきじゃあないんです。
この警察官が何をしたかを聞いたら、皆さんもあきれますよ。
問題の警察官は、ニュー・サウス・ウェールズ州の田舎町に勤めるクリスチャン・ホワイト巡査、33歳。12年も巡査をやって来た人です。
この田舎町にある高齢者介護施設に入居していた95歳のおばあさんが、ホワイト巡査にテーザー銃で胸を撃たれて後ろ向きに倒れ、その時に後頭部を強打して亡くなったんですよ。
テーザー銃って、皆さんご存知ですよね。
2つの矢のような電極を発射すると、標的となる人間の衣服を貫通して身体に突き刺さるようになっています。銃と細い銅線でつながっている電極に高圧電流を流して電気ショックによって標的の人間の動きを制御します。
激痛と筋肉麻痺を発生させるそうで、強靭な身体の人間でも動けなくなる威力があります。テーザー銃を撃たれて死亡するケースは結構多いのですよ。
さて、このホワイト巡査にテーザー銃を撃たれて亡くなった95歳のおばあさんですが、認知症を患っていました。どんな悪いことをしたのかと言いますと、5月のある日の早朝にキッチンからステーキナイフを取り出したというのがおばあさんがしたことです。
つまり誰でも簡単にナイフが保管されているキッチンに入れる状態だったということですよ。
ステーキナイフというのはステーキを食べるためのナイフですけど、普通のテーブルナイフとは違って先が尖っていてギザギザがあります。介護施設のスタッフがおばあさんからそのナイフを取り上げられなかったために警察を呼んだと言うんですけど、それって警察を呼ぶようなことですか?
やって来たのがホワイト巡査ともう一人の女性の巡査の2人でした。
ナイフを放しなさいと言ってもそれに従わなかったおばあさん。女性巡査が私が取り上げますと言ったのに、ホワイト巡査はテーザー銃を取り出して威嚇みたいなことをしたんですって。
それでもおばあさんがステーキナイフを放さなかったので、「ダメだ!チクショー!」と言っておばあさんめがけて撃ったんです。
電極はおばあさんの胸に命中して突き刺さり、おばあさんは電気ショックで瞬時に後ろ向きに倒れ、後頭部を強打したそうです。病院に運ばれて1週間後に亡くなりました。
事件の後、ニュー・サウス・ウェールズ州警察はテーザー銃の使用について「武器を所持した犯人による深刻な脅威」があったためのやむを得ない対応だったと発表しましたけど、どんな「深刻な脅威」があったかということはすぐに明らかになって人々を怒らせました。
認知症を患う体重43キロの95歳のおばあさんは、自力で歩くことが困難だったので歩行補助器を使っていたんですが、右手にステーキナイフを持ったまま、歩行補助器を押しながらゆっくりとホワイト巡査の方に近づいたのだそうです。
「武器を所持した犯人による深刻な脅威」というのはそれですよ。
この2人の警察官は、歩行補助器でやっと歩いている95歳のおばあさんからテーザー銃なしでステーキナイフを奪う能力がなかったんですかね。歩行補助器をどうにかすればおばあさんは歩くことも出来なかったのに。
おばあさんはステーキナイフで誰かを襲っていたわけではないんですよ。ただ持っていただけなんです。そして、放せと言われても放さなかった、それだけなんです。
認知症の高齢者の世話をしている施設のスタッフは、こういう場合はどう対応するものなんですか。警察を呼ぶというのが私には理解できないんですけど。
そして、呼ばれた警察がテーザー銃を撃ったというのがもう考えられない!
この事件が起きたのは5月のことですが、オーストラリアでは大きなニュースになりました。
その後、ホワイト巡査はクビになることもなく、給料を満額もらいながら休職中で、特に何の行動制限もなく自由に過ごしているんだそうです。
そして、昨日初公判があったんですが、裁判所には出廷せず、場所不明のどこか(おそらく自宅)からオンラインで出廷したのだそうです。
ニュー・サウス・ウェールズ州の検察官がホワイト巡査のオンラインでの出廷を認めたからです。
ところが裁判所の判事は、この件について相談もされなかったし、ホワイト巡査がオンラインで出廷することになったことも知らされていなかったんですって。当然許可もしていないわけです。
それどころか、裁判所はですね、昨日の初公判ではホワイト巡査の身の安全を守るために特別な警備を手配していたそうなんですよ。この事件が大きく報道されて、ホワイト巡査への批判が大きかったので。
判事は、警察から提出された証拠書類がすべての事実ではなく編集された一部の事実だけだったことも問題視して検察官を厳しく非難したそうで、昨日のニュースというのは「初公判で判事が検察に対してものすごく怒っていた」ということでした。
怒ったのは判事だけではないですよ。多くの国民が怒っています、というかニュー・サウス・ウェールズ州警察と検察にあきれています。いろいろずさん過ぎるんです。
警察の上層部は、この事件の詳細が外部にもれないように情報を隠そうとしたという報道もありますが、事件直後に「武器を所持した犯人による深刻な脅威」があったと発表しているんですから、さもありなんですよね。
ホワイト巡査が処分されず、辞職もせず、ずっと給料をもらい続けて休んでいるというのも腹が立つ原因なんですけど、この巡査が何の罪にも問われず警察の仕事を続けるようなことになると、私は許せないですよ。
95歳の認知症のおばあさんにテーザー銃を撃つような人間は、警察官になるべきじゃあないです。
その時どうしても緊急にナイフを取り上げる必要があったとしても、相手は歩行補助器でやっと歩いているおばあさんですよ。警察官は2人もいたんです。テーザー銃を撃たなくてもナイフを取り上げることは簡単でしょう。
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