熱気球はどんどん南に動いていました。コーヒーを持ってデスクのある部屋に行ったら、南側の道路向かいの家の向こうに熱気球が5つも見えました。
今朝も雲一つない快晴ですから、熱気球に乗っていた皆さんはきれいな景色を楽しんだことでしょう。私も一度は乗ってみたいです。
さて、今日の我が家のニュースは、うちの息子のことです。
ここ数年間見たことがなかったほどウキウキしていて、いろいろ前向きになっているんです。昨日はショッピングセンターに買い物にも行って、ユニクロで買ったという新しいTシャツを見せてくれましたよ。おどろおどろしい妖怪の浮世絵がプリントされたTシャツでした。
「気持ち悪い!なんでそんなのを買うの?」と私が言うと、「いいの!オレはこういうのが好きなの!」とニコニコしていました。
持って行くものリストをチェックしながらスーツケースを詰めていました。
まるで旅行に行くみたいですけど、違うんです。行き先はメルボルンの病院なんです。治験ボランティアに採用されたので張り切っているんですよ。
今から5年ほど前に「人間モルモット進行中」という記事を書いていますけど、あの時が最初の治験ボランティアでした。
治験のボランティアは高額な報酬がもらえる場合もあるので、無職あるいは低所得の若者には「魅力的なアルバイト」らしいのです。旅行ばかりしていて安定した収入がなかった義弟(うちの夫の弟)は、これでお金を稼いでいました。
過去には死者が出た治験もありましたしね、副作用とかの問題もありますから「ちょっと怖いアルバイト」ではあるんですけど、まだ就職活動をするところまでメンタルが回復していない息子にとっては、この治験ボランティアの報酬で日本に旅行出来ると分かって前向きになっているんです。
再び治験ボランティアをしようと思ったのは、その治験会社から電話がかかってきたことがきっかけだったそうです。ある治験のボランティアがなかなか見つからないから、以前参加したことがある人達に「やってみませんか?」と電話をしていたようです。
報酬は100万円以上でした。どうしてそんなに高額かというと、リスクが大きいからではなく、条件がたくさんあったからです。治験後1年間はメルボルンから出てはいけないという条件は、ボランティアが見つからない一番の原因だったと思います。
息子は費用さえ準備出来たらすぐにでも日本へ旅行したかったので、残念ながら断ったのですけど、別の治験を勧められたのですよ。その治験も報酬はかなり高額でした。
治験後のフォローアップ検査の回数も少なかったのに報酬が高額だったのは、2週間も入院しなければならなかったことと、この治験も条件がたくさんあったからでした。
いかなる薬も飲んでいないという条件は当然ですが、それ以外にあれを食べてはいけない、これを飲んではいけない、これをしてはいけない(運動を含む)などたくさん条件がありました。
事前検査もありましたし、息子は肝臓の病気である「ヘモクロマトーシス」という肝臓などに鉄が過剰に蓄積される先天性の病気の遺伝子を受け継いでいるので、その遺伝子の種類を調べる必要もあったりして、この治験に採用されるかどうかは簡単には決まらなかったんですよ。
採用の知らせが来た時には、これで日本に行けると分かったので息子は大喜びでした。私に言わせると、治験のボランティアというのは「人間モルモット」になることですから嬉しくもなんともないんですけど、メンタルヘルス改善の良いきっかけになる可能性があるので、黙って見守っています。
今回の治験は、システィック・ファイブローシス(Cystic Fibrosis)という難病の治療薬に関するものです。この病気は、日本では嚢胞性線維症(のうほうせいせんいしょう)と呼ばれるそうです。
分泌腺が異常に粘り気の強い分泌物を生産し、その分泌物が肺などの臓器の働きを妨げる疾患だそうです。遺伝子変異を親から引き継ぐことで発生します。
この治験はすでに何回か行われていて、安全であることは証明済みだということなので心配はしていません。月曜日から2週間入院します。
息子にとっては、この治験イコール日本旅行ですからね、ワクワクするのも分かります。報酬がもらえたらすぐに日本に行きたいそうですから、問題なく治験が終わることを祈ります。
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