救急車に運び込まれて病院へと急ぐ間も、とにかく痛みがひどいんです。
レモン大に腫れ上がったたんこぶ周辺も痛いんだけど、頭がね頭頂部から左側頭部にかけてひどく痛かったんです。
身体が痛いとついハアハア息をしちゃうので、過呼吸になって身体が痺れてくるものです。血圧と心拍数をモニターする救急隊員が「呼吸が速すぎます」「ゆっくり呼吸することに集中してください」「息をし過ぎです」と繰り返すんですが、
だって痛いんだからあ〜!
「どこが痛いんです?」
「打ったところですよ〜、たんこぶが出来てるところと頭頂部〜」
「痛み止めは飲んだんですか?」
「何も飲んでいません〜、だってお水が飲み込めないんだから〜」
こうしたやり取りの後、救急隊員はモルヒネ投与を決断したのでした。
腕を縛って血管を探すものの、手の甲にも腕にも注射針を刺せる血管を見つけられない隊員。
そうなんですよ、私、いつも苦労するんです。
それでも何とか、右腕に針を刺すことができました。
まずは、悪心嘔吐を止めるための薬を投与。そして、いよいよモルヒネです。
「まずは、最少量から始めますからね。痛みの具合から判断して量はあなたが決めるんですよ」
「ハイ、分かりました」
モルヒネが身体に入った瞬間に身体中に不快感が生じ、気持ちが悪いというか「なにかヘン」な感じがして、しばらくすると身体が痺れて来ました。
「スミマセン、隊員さん〜」
「はい、痛みはどうですか?」
「痛みは少し楽になった気がしますけど〜、私の膝の上に何か重い物を置きましたか〜」
「何も置いていませんよ」
「重いんです〜」
「大丈夫、何も置いていませんよ」
「重いんです〜、あ〜もっと重くなってきた〜」
すぐに身体が麻痺して動かせない状態になりました。痛みは続いていましたが、モルヒネの追加投与はしてもらえませんでした。
我が家からマルンダ病院までは、10分もあれば行けるはずなのに随分時間がかかりました。サイレンを鳴らして急ぐ必要もなかったようです。
とにかくやっと病院についても、すぐには診てもらえません。オーストラリアの公立病院は、数が少ない上にスタッフも足りていないらしく、いつでも忙しくて待たされるんです。
私は救急車から降ろされてから、廊下で相当な時間待たされました。そして、やっと来てくれた病院スタッフが私の顔を一目見て叫びました。
Goodness gracious!(あらまあ、すごい!)
レモン大のたんこぶ周辺は、腫れ上がっているだけじゃあなくてナス色の濃い紫色になっておりまして。
モルヒネのせいで身体が麻痺して動かせないんですが、痛みは続いているので、ついついハアハア息をし過ぎて過呼吸になり、救急隊員から「呼吸が速すぎますよ」「ゆっくり呼吸することに集中してください」と言われ続けながら廊下で待つことウン十分。
やっと救急治療室のスペースが空いて運び込まれようという時、身体が動かせるようになりました。きっとモルヒネが切れたんです。
それと同時に、激しい痛みが襲ってきました。
それはもうね、じっとしていられない痛み。
あああ〜 ううう〜
ベッドの上で身体をよじりまくり、声を上げ続けるから救急隊員も大変です。
迅速な報告によって病院スタッフへバトンタッチされた後、病院へは自分の車で来ていた夫も合流し、医者が来るのを待ちましたが医者は来ない。
待てど暮らせど、医者は来ないのよ!
痛い〜!頭が痛い〜!
「脳内出血していたら死んじゃうよ〜」
「痛みを何とかして〜」
「モルヒネがダメならただの鎮痛薬でもいいからあ〜」
「早くう〜」
「医者はどうしたあ〜」
痛みに悶え苦しんでいるのに、夫は「しいーっ!静かにしろ!」と言うんです。
静かになんかしていられるかあ〜!
痛みを何とかして〜!
やっとナースがやって来て、薬の相談が始まりました。私はアレルギーがいろいろ有るので、薬の選択はいつも慎重です。アスピリン系はダメなのです。モルヒネもね、最少量で身体が完全麻痺したから心配でした。
どうするどうする?
「アスピリン系でもいいです〜、何でも飲みます〜、アレルギーでおかしくなってもここは病院だしい〜」
「あなた、何を言うんですか!」
「パナドールでいいですよ〜、いつも飲んでるパナドールで〜」
何でもいいから、早く、早く、痛み止めをちょうだい!
(つづく)
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