黄斑というのは、網膜において神経節細胞が最も高密度で集まっている視野の中心となる部分であり、いわゆる「見えるもの」の詳細を知覚する部分です。この黄斑の変性が広がると機能しなくなる細胞が増えるわけですから、その部分が機能しなくなるということは見えなくなるということでして、義母の視界中央には黒っぽい何も見えない部分が広がっていて、下の写真のように見えているのだそうです。
失明の原因となる病気ですが、義母はかろうじて視界の外側部分でものを見ることができています。なにかを見る時は、焦点を当てたいもの以外の方へ焦点を当てるようにすると、見たいものがぼんやりと視界の外側に見えるということらしいですが、もちろんこの方法では詳細を知覚することはできませんし、見ようとする行為そのものがとても疲れるのだそうです。
さて、母親の目の病気は遺伝する可能性があるため、目の悪い息子のカイは視力検査の度に眼底の黄斑も検査してもらっています。もちろん夫も、義母の息子ですからこの目の病気を発症する可能性はあったわけです。
先日、リーディンググラス(別名:老眼鏡)のために目の検査をしてもらった夫は、眼の奥に小さいシミのようなものがあると言われたそうで、再度検査したところ黄斑変性の始まりであると分かったのだそうです。
義母の苦労ぶりを長年見ている私としては、夫の視力が低下して車の運転ができなくなるのが心配です。義母がこの目の病気になって最も辛かったのは、自分で自由に行動できなくなったことでしたから。公共の交通機関が整備されている街に住んでいればそれほどでもなかったかもしれませんが、田舎に住んでいると車がないとどこにも行けないのです。その車が運転できないというのは、自由を奪われるということで、それは辛かったそうです。
先ほど、夫は精密検査に出かけて行きました。
見えるということも、当たり前のことではないのです。健康であることのありがたさは、健康ではなくなってから気づくのです。
どうぞ夫が失明しませんように…と、祈っています。
精密検査の結果はですね、良くなかったです。
黄斑変性の病気には、加齢によって発症する加齢黄斑変性というのが一般的ですが、夫の場合は遺伝子として母親からもらった先天性の黄斑変性である「スターガルト病 Stargardt Disease」だそうです。
これはもうどうにもなりません。いずれは見えなくなるらしいです。
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