2012年7月14日

下がれ!住宅価格

先進諸国の中でも、オーストラリアは後退のない順調な経済発展を続けているとか、急成長を続ける資源産業への海外からのさらなる巨額投資でブーム状況だとか、物価も上がっているが平均所得も著しく上がっているとか...、そういったニュースを聞くたびにため息が出る。

メルボルンのあるヴィクトリア州には、稼ぎ頭の資源産業がないので、われわれ一般市民が感じる社会の経済状況というのは、決して良いものではない。

製造業・サービス業を中心とした会社の破綻やリストラが続いており、それは中小企業にとどまらず、「ええっ、あの会社が!」と驚かされるような有名企業も含まれている。

しかし、全般的には、資源産業絶好調のせいで物価は上がり続けており、食品や日用品など生活必需品の価格はうなぎのぼり!7月から導入された炭素税の影響もあって、電気もガスもガソリンも水までも、多くの人が支払いが困難になるほど値上がりしている。

しかし、最も高すぎると感じるのは、住宅価格だ。

住宅価格の異常上昇は、値上がりを続けるオーストラリアの不動産に対する海外からの投資も拍車をかけた一因といわれている。メルボルンに近いエリアでは、平均的な住宅の価格が、1億円以上なんてのが当たり前で、隣家とくっついたタイプ、集合住宅タイプ、小さくて古い家、そういうちょっと安めの住宅でも7~8千万円というところか。

私達が住んでいるRingwoodは、メルボルンからはかなり離れているが、ごく普通の築30~40年くらいの3ベッドルームの家が5千万円も6千万円もする。

夫婦共稼ぎで結構な収入があっても、住宅の購入は非常に困難になっている。

私達は、食べるのに苦労している状況であるから、住宅の購入なんてはなっから考えもしない。夫の仕事の関係で引越しが続いたせいもあり、私達はずっと貸家暮らし。現在住んでいるこの間取りのヘンテコなボロ屋敷、家賃は1週間450ドルである。

この家の前に住んでいた家は、素晴らしかったが1週間に500ドル以上払っていた。家主が投資目的で買っていた物件だった。その人はまだメルボルンの家が安かった頃に買っていた住宅を値上がり後に売って大もうけ。不動産バブルといわれながらぜんぜんバブルがはじけないメルボルンの不動産への投資を続けたそうだ。買っては売り、買っては売り、たちどころにウン億円も儲けたらしい。当時5軒の投資目的の住宅を所有していた。

その家主が、突然その家を売りさばく決心をしたものだから、我々は引越しを余儀なくされたのだが、その時、このボロ家以外に良さそうな貸家がなかったものだから、仕方なく1年の契約で我慢して住むことになってしまったのだ。もう3回目の冬を迎えているが...。

こんなボロ家に週450ドルの家賃。1ヶ月あたりにすると約二十万円というところか。この月二十万の家賃がわれわれを苦しめ続けてきた。

「もっと安い家に引っ越せばいいじゃないの?」と、お思いでしょうね。

しかし、引っ越すためにはそれなりの費用が必要なのですよ。引越し業者の費用や新しい貸家の敷金とかね。電話を移すとか、インターネットの手続きをするとか、まとまったウン十万円の費用がなければ、引っ越したくても引っ越せないのです。

今日の「The Age」新聞に、ここ1年でメルボルンの不動産価格が5%下がったという記事があった。多くの専門家は、不動産バブルははじけないと断言している。一時的に価格が下がることがあっても、大きく値崩れするようなことはありえないんだそうな。

なにしろ、メルボルンの人口は、凄まじい勢いで増え続けており、慢性的な住宅不足が問題になりつつある。「一般労働者が支払い可能な家賃の住宅不足」と言い換えた方が良いのではないか?

ああ、しかし、これをきっかけに、本当に住宅価格が下がってくれたらどんなに良いか...。


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