オーストラリア人家庭では、一家に一台必ずお待ちの「エレクトリック・ナイフ」というキッチン道具がある。「エレクトリック・ナイフ」すなわち「電動ナイフ」だ。
主に、ローストしたでっかい固まり肉をスライスするのに使われるが、パンをスライスするのにも便利な道具だ。
片手で持てるコンパクトで軽い本体にワンタッチで2枚の刃をセットする。この刃が互い違いに前後に細かく動き、力をいれずとも容易にスライスすることが可能となる。
しょっちゅう家族や友人が集まって、ロースト料理を楽しむ私の義母の家では、この電動ナイフは絶対必需品である。ローストビーフ、ローストポーク、ローストラム、そしてローストチキンと、肉が何であれ、これを使えば誰だってスイスイと上手にスライスできるのだ。
ある時、私たち家族は、私が家庭教師で日本語を教えていた生徒の家に夕食に招待された。メニューは巻き寿司であった。
手巻き寿司という楽な方法があるのを知らなかったのか、生徒(二人の姉妹)とお母さんが三人がかりで一生懸命に巻き寿司を巻くのを私は感心して眺めた。
慣れた手つきである。しょっちゅう作るのだそうだ。
「なるほど...」と、感心していると、電動ナイフを取り出した。
「えぇっ?電動ナイフで何をするの?」
私の頭の中では、「電動ナイフ」イコール「ロースト料理」と完全につながっていたものだから、巻き寿司を作っているのに「電動ナイフ」を取り出すというのは、一体何をしようとしているのか見当がつかなかったのだ。
「スシロールを切るのよ!」と、彼女達は笑顔で言った。
「電動ナイフで寿司を切るぅ?」
私はびっくり仰天である。
しかし、実際に切るのを見てもっとびっくりした。
普通、包丁で巻き寿司を切る場合、どうしてもご飯がベトベトくっついてきれいに切れなくなるので、ぬれ布巾で包丁をひんぱんに拭きながら切らねばならない。
しかし、電動ナイフで切ると、スパッ!スパッ!と切れてゆき、ナイフにべとべとしたご飯がほとんど付かない。
結局、最後まで一度もナイフを拭くことなく見事に全部切り終わった。10本近く切っただろうか。全て切り終わったナイフを見ると、さすがにベットリとご飯がくっついていたが、それでも最後まで抜群の切れ味なのだった。
私は、なんと言ったらいいのか、その...、気持ち的にですね、巻き寿司を上のような電動ナイフでガッガァーと切るということに抵抗があったのですけど、先日、息子のカイが学校に持って行くための大量の巻き寿司を作った時に使ってみました、電動ナイフ。
すごいです。
あっという間に、スパッ!スパッ!と、見事な切り口で切れます!
日本では、まだなじみのない道具でしょうが、もしも電動ナイフをお持ちだったら、だまされたと思って、今度巻き寿司を切るのに使ってみてください。びっくりしますよ!
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