私にとって、大きなかたまり肉をオーブンで焼くロースト料理は、オーストラリアに来てから知った料理です。義母(うちの夫の母親)がまだ目が見えていた頃には、家族が集まる時のご馳走といえば、いつもロースト料理でした。
使う肉はいろいろで、丸ごとのニワトリやアヒルを使うこともありましたが、牛肉を使ったことはほとんどなくて、最もよく使ったのは豚肉かラム(子羊)肉でした。
ロースト料理って、基本的には肉をオーブンに入れて焼くだけですから難しくはないんですけど、肉の焼き加減や、付け合せの芋や野菜が同じ時に出来上がるように、タイミングを合わせるのは簡単ではありません。
そして、焼くのが難しい肉もあるんですよ。
最も難しいと私が長年思って来たのは、皮と分厚い脂肪層が付いた豚肉です。2〜3キロあるかたまり肉は、ただ火が通るまで焼けばいいわけではないんです。皮を「クラックリング」と呼ばれるサクサクカリカリした煎餅みたいな食感になるように焼くのが難しいのです。
義母のやり方を教えてもらって、それで何度か焼きましたけど、ちゃんと煎餅みたいにカリカリになる部分もあるんですけど、カッチンカッチンになって歯が割れそうな固さになってしまう部分やゴムみたいな食感のままの部分もあって、いつもガッカリするんですよ。
経験豊富な義母が焼いたってそういう部分は出来るので、一概に私が下手だからとは言えないんですけど。
おまけに、豚肉やラム肉を焼くと脂が散ってオーブンが汚れます。掃除が大変なので、私は次第にロースト料理を避けるようになりました。
夫や息子がロースト料理をしたい時には、洗い物や片付けを自分でちゃんとするという同意のもとでやってもらっていますけど、あの2人がオーブン掃除をしたことはありません。
そんな私が、ロースト料理をすることにしたんです。夫の弁当用に、まとめて肉を焼いておきたかったからです。
うちの夫が仕事に持って行く弁当は、基本的に蒸した野菜と焼いた肉なんですけど、大きな肉を焼いたのをスライスして冷凍しておけば弁当作りが楽になると思ったんですよ。
夫がショッピングスクエアに行く用事があった時に、「食べたい肉を買って来て」と頼んだら、3キロ近い豚のかたまり肉を買って来ました。もちろん皮付き、分厚い脂肪層付きでした。
私は一気に緊張しましたよ。上手にクラックリングを作る自信がなかったからです。
そこで、インターネットでクラックリングを失敗しないコツを調べたんです。最初に見たのは、私がいつも買い物をしているColes(コールズ)というスーパーマーケットと提携している有名シェフのカーティス・ストーンさんの動画でした。そして、ストーンさんがすすめる焼き方が、うちの義母の焼き方とは大違いだったんです。
成功したことがない義母直伝の方法をやめて、カーティス・ストーンさんがすすめる方法で焼いてみました。3時間くらいかかりましたよ。オーブンはどんどん脂まみれになるし、オーブンから煙が出て煙探知機がピーピー鳴るし、野菜のタイミングを合わせるのにも手間がかかって大汗をかき、私は辟易してしまいました。
出来上がった時には、「もう二度とローストポークなんて作りません!」と宣言したのですが、うちの夫がそのローストポークを食べながら「美味しいよ!」を何度も繰り返すのです。肉を焼いたのを晩ご飯に出すといつでも「美味しいよ!」と言う人ですが、その時は何度も繰り返し言ったんです。
そこで、肉を食べるつもりは無かった私も一口食べてみました。
「おお、これは…」
目を見開いた私を見て、夫が「でしょ?美味しいでしょ?」と言いました。
うん!これは美味しい!
お肉がとても柔らかくなっていたんです。そして、問題のクラックリングですが、端っこの少し固そうに見えた部分を食べたんですけど、サクサクだったんですよ。その部分がサクサクだったということは、皮は100%完璧なクラックリングになっていたはずです。
これまで食べたどのローストポークよりも美味しかったです。味付けには塩しか使わなかったんですけど、あまりの美味しさにびっくりしました。オーブンの温度を上げている間に取り出した肉汁と脂で作ったソースも美味しかったです。
私はすぐに作り方をメモしました。カーティス・ストーンさんが動画で言っていたやり方を私流に少しアレンジしましたのでね。
「もう二度とローストポークなんて作りません!」と宣言した私ですが、あんなに完璧なクラックリング付きローストポークが作れるのなら、また作りたいと思います。その時には写真を撮って、作り方をウェブサイトに載せようと思っています。
「それまで待てない!」「早く作り方を教えて!」という方のために、明日はどうやって完璧なクラックリング付きローストポークを焼いたかを紹介しますよ。お楽しみに!
写真を撮れば良かったんですけど撮らなかったんですよ。クラックリング付きローストポークというのがどんなものかご存知でない方は、「roast pork with crackling」のキーワードでグーグルしてみてください。
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